【復刻・民泊革命(第24回)】 このままでは特区と同じ失敗?

民泊ホストの間で話題になった渋谷警察のポスター

 話は飛んでしまうが、6月下旬一つのポスターが民泊ホストの間で話題になった。それは、渋谷警察署が作成したポスターで、外国人の顔が並べられ、テロを防止するために民泊施設を見つけたら通報してほしいという内容の物であった。

区内の掲示板に貼ってあった物を見つけた人が「外国人を見たらテロリストと思え」「民泊施設はテロリストのアジト」という間違ったメッセージが伝わるとツイートし、民泊ホストの間で話題になった。

 BuzzFeed Newsがこの問題を取り上げ、読者からの投票を募った結果は、7月1日現在で1890人が投票し、79%が誤解を招きそうだとしている。これは、日本人の心の閉鎖性が、思わず出てしまった例だろう。

日本は制度の上では明治の初めに開国したが、自分も含め、まだまだ心の中で「鎖国」している部分がある。今後インバウンドのマーケットを伸ばしていくには、このような日本人の心の「鎖国」を「開国」に変えていく必要があろう。海外から日本に来た外国人と、固定観念なくコミュニケーションを取る中で、彼らが本当に望む商品やサービスを理解し、真の観光立国を作っていけるのではないだろうか。

<筆者のコメント>
180日規制のある民泊新法が来年6月以降施行されることになりましたが、再度民泊ホストにアンケートを取ったらどうなるのか、気になるところですね。 この回の最終の段落に書いたことは、民泊に詳しくない方に対して民泊を説明する時は、「民泊というのは、単に住宅に外国人を泊めることじゃなく、もっと深いんです」と前置きしてほぼ毎回話しています。

  1年4ヶ月間、2016年1月11日号から2017年4月24日・5月1日号まで計64回にわたって不動産業界紙「週刊住宅」に連載された「民泊革命」。掲載用に編集前の元原稿を民泊大学ウェブサイトで復刻し、過去に取り上げた事実が現在どうなっているか、著者のコメントを合わせて掲載します。 

<筆者プロフィール> 児山秀幸(こやま・ひでゆき) 合法民泊やホステル・ゲストハウスなど簡易宿所の立ち上げや運営支援を手掛ける株式会社TAROコーポレーション代表取締役。旅館業法における「簡易宿所」の営業許可を取得した「タローズハウス鎌倉小町」を運営。Facebookグループ「簡易宿所・民泊ビジネス研究会」の管理人。Airbnbや民泊新法、旅館業法、特区民泊、東南アジア民泊、医療インバウンドなどに関するセミナー・コンサルティングも。

<前回号である第23回記事>

【復刻・民泊革命(第23回)】 検討会の最終答申をどう見るか