【大田区担当者に聞く】特区民泊、「2泊3日以上」への短縮を決めた理由と慎重姿勢を示してきた背景とは・・・?

東京都大田区はこのほど、特区民泊の最低宿泊日数を「6泊7日以上」から「2泊3日以上」にする方向性を固めたと明らかにした。今後、パブリックコメントを経て11月ごろに区議会に上程し、来年4月ごろの施行を目指す。

特区民泊における最低宿泊日数は、昨年10月の政令改正で従来の「6泊7日以上」から「2泊3日以上」に短縮されていた。大田区以外で特区民泊を実施している大阪府・市、北九州市、新潟市では、現在「2泊3日以上」で運用されている。

一方、大田区は「2泊3日以上」に短縮することに対しては、住民への影響や安全・安心の観点から、慎重姿勢を示してきた。民泊大学は今回、大田区に取材し、「2泊3日以上」に短縮する理由を聞いた。

大田区によると大きな理由の一つが、事業開始してからの期間がまだ短い中で、「6泊7日以上」の枠組みでの事業評価を終えないまま、政令改正に合わせて短縮を決めるのは時期尚早だと考えたことだ。

大田区が特区民泊をスタートさせたのは2016年1月。政令は2016年10月に改正・施行されたが、その時点ではまだ事業開始から1年も経っていなかったため、「きちんと事業評価もせずにすぐに切り替えるのはいかがなものか、という意見が区役所内にあった」(大田区の担当者)という。

一方、大田区の特区民泊の枠組みで民泊事業を運営する事業者からは、「2泊3日以上」への短縮を要望する声が区に寄せられ、区は本格的に検討を開始。実際に既に条例改正で短縮を行った大阪などから、短縮した後の実態について聞いた。

その結果、大阪では最低宿泊日数を6泊7日から2泊3日に短縮しても、近隣住民からの苦情件数などはほぼ変わらなかったため、大田区は最低宿泊日数の短縮による近隣住民への影響についてはあまり変化がないと判断するに至ったという。

取材によると、来年6月の住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行を控え、全国的な民泊解禁の流れに合わせて最低宿泊日数の短縮に舵を切ったとも言えるという。

【大田区・特区民泊】最低宿泊日数の短縮検討、その理由は・・・? 「6泊7日以上」基準見直しへ