住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊条例案について協議中の北海道の有識者会議は、民泊を制限する期間の検討たたき台として、3案を軸に検討を進めている。小中学校周辺や別荘地、山間集落を制限対象とするかを検討するほか、住宅専用地域を対象地域に加えるかも大きい論点の一つとなっている。
制限たたき台①静穏な環境の小中学校周辺の区域
- 論点①:生活環境の悪化—-住宅宿泊事業の営業による区域外からの不特定多数の人の出入りにより、区域内の学校の生徒の内容の登下校時等における安全安心が損なわれる。
- 論点②:区域の条件—区域外からの不特定多数の人の出入りを制限することによって、静穏、安全安心な学校周辺の環境を維持しようとするものであり、現状において、ホテル、旅館、簡易宿所等、区域外からの不特定多数の人の出入りがある施設等が区域内に存在しないことまた、登下校等の生徒の防犯上の対応として学校や地域、生徒家庭等において具体的な対応等の負担の発生が見込まれること。
- 論点③:学校の種類—小学生や中学生の登下校は保護者は同伴しないため、見ず知らずの者による「声かけ」等の被害の可能性が高まると考えられることから、小学校、中学校を対象。保育所、幼稚園は、一般的に保護者同伴等での通所・通園であり対象外。高等学校は生徒の登下校等の防犯対策についての負担の発生が考えにくいことから対象外。
- 論点④:制限範囲—登下校時等の生徒が多数存在する範囲を制限することとし、他法令(旅館業法、風営法)を参考に「学校の周囲のおおむね百メートル以内」。
- 論点⑤:制限期間—祝日、土日、各市町村教育委員会規則及び各私立学校規則に基づく休業日を除く日の営業を制限。
制限たたき台②静穏な環境の別荘地
- 論点①:生活環境の悪化—住宅宿泊事業の営業による別荘地外からの別荘所有者ではない不特定多数の人の出入りにより、別荘地特有の静穏な環境が損なわれる。
- 論点②:別荘地の条件—管理規約等があるなど、別荘地所有者が、その静穏で良好な別荘地特有の環境を維持していると認められこと。また、別荘地外からの不特定多数の人の出入りを制限することによって、静穏で良好な別荘地特有の環境を維持しようとするものであり、現状において、ホテル、旅館、簡易宿所等、別荘地外からの不特定多数の人の出入りがある施設等が別荘地内に存在しないこと。
- 論点③:制限区域—管理規約等により、その周囲と何らかの明確な区分がなされるなどした別荘地の範囲制。
- 論点④:制限期間—別荘地に別荘所有者が多数滞在する時期の営業を制限。
制限たたき台③山間部等の道路事情が良好でない集落
- 論点①:生活環境の悪化—住宅宿泊事業の営業による集落外からの交通量の増大により、集落内の道路等の混雑や渋滞の発生となり日常生活を営むことに支障となる。
- 論点②:道路等の混雑や渋滞の条件—住宅宿泊事業の営業を制限しようとするものであることから、日常生活を営むことに支障が出るほどの集落内の道路等の混雑や渋滞が、専ら住宅宿泊事業により「発生」すると考えられるものであること。
- 論点③:集落の条件—山間部等の道路事情が良好でない集落であり、混雑や渋滞が発生する道路等の他に、その機能を代替する道路等が集落内に他にないこと。
- 論点④:集落の範囲—道路等の混雑や渋滞による日常生活の支障が発生する集落の範囲。
- 論点⑤:制限期間—紅葉時期等、例年道路渋滞等が発生すると想定される時期の営業を制限。
北海道は10月下旬以降に有識者会議を再度開いたあと、市町村に具体的な制限区域について意見照会をしたあと、考え方を取りまとめる。条例案のパブリックコメント開始は12月中旬以降となる見込み。