東京の民泊事情 特区民泊の最前線「大田区」は今

 京王電鉄(本社・東京都多摩市)は新築マンション「KARIOKAMATA(カリオカマタ)」1棟を使用した民泊を東京都内で開業した。鉄道業界で合法民泊ビジネスを開始するのは、同社が初となる。

 この新築マンションは国家戦略特区の指定を受けている東京・大田区の蒲田にある。京急蒲田駅から徒歩4分、JR蒲田駅から7分の場所にあり、また、蒲田は東京の中でも羽田空港に近いことから、外国人旅行者の取り込みを考えると、立地的な優位性は高い。

 産経ビズなど複数のメディアが報じたところによると、この新築マンションは5階建て14室で、料金は1室1万1000~2万1000円に設定される。

 京王電鉄の民泊事業は、特区指定を受けている東京・大田区の民泊条例に基づいた特区民泊、いわゆる「合法民泊」だ。民泊新法が施行や他の区・市での民泊条例が制定されない限り、東京都内では大田区以外での民泊サービスの提供は基本的には「ヤミ民泊」(無許可民泊)となる。

大田区は特区民泊の最前線

【出典】首相官邸ホームページ「国家戦略特区 民泊について」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/pdf/shiryou_tocminpaku.pdf)

 東京・大田区では2016年1月29日に事業者受付を開始し、その2週間後の2月12日に事業開始を認める施設を2件認定した。この2件を皮切りに東京・大田区での認定施設は増え続け、この詳しい内訳が2月20日、内閣府地方創生推進事務局が発表した「国家戦略特区〜特区民泊について」に掲載された。

 2月17日時点で、東京・大田区から認定を受けた施設は31施設108部屋に上る。この31施設は計24業者によって運営されており、うち個人が6人。これまでの滞在実績は498人で、外国人がその約60%の301人を占める。この部屋数ベースで比較すると、同様に民泊条例が施行されている大阪府(4施設6室、2月17日時点)と大阪市(31施設67室)より多く、現在の日本国内で最も特区民泊が盛んであると言える。

 東京・大田区における特区民泊の認定施設は、首相官邸ホームページの内の「国家戦略特区 民泊について」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/pdf/shiryou_tocminpaku.pdf)から確認することができる。施設名と所在地、認定数、事業開始日がすべて掲載されており、大田区における民泊サービスの事業推移を確認できる。

 今回の京王電鉄が開業した新築マンション1棟での民泊サービスの開始は、まさにその特区民泊最前線でのビジネスだ。