来月にも千葉市で特区民泊スタート 国内6カ所目、最低宿泊日数は2泊3日以上 市内東側の若葉区と緑区で住民説明会

千葉市で来月にも特区民泊の枠組みがスタートする。特区民泊は現在、東京都大田区、大阪府、大阪市、北九州市、新潟市で実施されており、千葉市でも開始されれば国内6カ所目となる。宿泊日数は2泊3日以上で、実施地域は市内若葉区と緑区の一部の区域が対象となる。

千葉市は条例案のパブリックコメントを今年7月3日から8月4日の1カ月間実施し、対象地域の住民への説明会なども実施してきた。9月15日の千葉市議会の第3会定例会で条例案が可決され、12月中の事業開始を目指している。明日7日も住民説明会が実施される。

実施する地域は、千葉市の東側にあたる若葉区と緑区における①第一・二種低層住居専用地域②第一・二種中高層住居専用地域③市街化調整区域—の3地域となり、総面積は千葉市全体のおよそ半分を占める。

特区民泊の実施は、自然豊かな内陸部の活性化が目的の一つ。「緑」「里」「農」をキーワードとする農業体験や観光資源を有効活用し、特区民泊の導入による地域資源の有効活用や観光振興の推進を目指す。

千葉市は、パブリックコメントの結果を公表している。寄せられた意見の概要は次の通り。

  • 実際事業が始まると、いろいろな条件設定が、現実に合わなくなってくる可能性がある。その際は柔軟な対応ができるよう、また、事業者、利用者どちらにも納得のいく事業運営ができるよう、条例は融通の利く作りにしておいた方がよい。
  • 分譲マンションの一室が民泊に使われ住民が迷惑しているというニュースがある。分譲マンションの標準的な管理規約では住居として利用する以外は禁止されているが、分譲マンションでの民泊は禁止するか、自治会の承認なしでは利用不可、という内容を条例に明記して頂きたい。
  • 民泊の実施地域はニュータウンとして開発された住宅地が多く、その地域で民泊を解禁する意味があるのか。平穏な生活を乱すような施策ならば反対である。
  • 若葉区・緑区の自然の豊かさと、空き家を活かした特区の取り組み方針については積極的な姿勢を評価したい。
  • 実際に宿泊するには、郊外地域の場合、公共交通の便はとても悪いので、果たして希望者がいるか心配である。例えば、オーナーが送り迎えを保証する、タクシー代を割り引く、レンタカー会社を誘致する、などしなければ、せっかく宿泊代が低額でも、交通費だけで、費用負担が高くなってしまう。外国人がメインと考えるなら、自家用車で来ることはないはずなので、交通アクセス問題をどう考えているのか、市としてはっきり打ち出すべき。
  • オーナー側からすると、既に空き家になっているところを活用するには多かれ少なかれ修繕や清掃が必要になる。そのため多額の費用がかかると予測されると、この事業をやろうとするハードルは高くなる。呼び水として、たとえば固定資産税の減額など、インセンティブについてはどう考えているか。外国人との間で一番問題になるのが言葉の壁と慣習・異文化の理解である。千葉県で通訳案内士として士業登録している者を通訳・翻訳やその他の調整者とし、一定の研修を設け、登録制にしてはどうか。業務は有償で行う。
  • こうした情報はなかなか対象者(事業を始める条件に合う人)には届かないので、さらに、説明会を続けるべき。当事者は申請前に近隣住民への説明が責務となっているが、事業が始まりそうな地域の住民には市として、説明会を開いていった方が良い。