【緊急寄稿】大田区の”民泊禁止条例”成立の全貌 大田区議会と民泊 区議会議員 岡 高志さん

大田区住宅宿泊事業法施行条例が可決成立しました。

この条例に反対したのは、私の所属するたちあがれ・維新・無印の会の4人の議員と共産党9人ともう1人。メディアでは、共産党などの反対で可決成立と伝えられてしまうので、私たちの反対理由が伝わらないものですから、ここに寄稿させていただきます。

大田区では、特区民泊を昨年スタートさせています。
地場の旅館業界からの反発はあったものの、大きな苦情もなく進んでいます。

今年9月の民泊新法(住宅宿泊事業法)制定を受けて、地場の旅館業界からの声も踏まえてか、住宅新法を規制すべしとの意見書を自民党中心に作成しています。

住宅宿泊事業法に関する意見書
http://www.city.ota.tokyo.jp/gikai/honkaigi_iinkai/ketsugi/h_29/29_3teirei_ikensho2.html

大田区では、自民党・公明党で安定多数を確保してますから、そうした業界寄りの意見書が成立しやすい環境です。

そこで、今回提出された条例案は、国の新しい法律で認められた住宅宿泊事業(民泊新法)を住宅地域で完全に禁止するもの。一部メディアでは、”民泊禁止条例”と称されるものとなりました。

条例案詳細は過去記事ご参照: 特区で民泊を推進してるはずなのに民泊新法(住宅宿泊事業法)に塩対応な大田区の方針。(参考: http://okatakashi.net/archives/1844)

法律を大田区だけで、そこまで制限するのは不公平である。そもそも大田区は特区民泊を解禁していて、民泊そのものを許容している自治体なのに、アンバランス。

そう考えて反対しました。

同時に可決成立した条例「大田区国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例の一部を改正する条例」

大田区の特区民泊の宿泊日数の下限を、6泊7日から、2泊3日へ緩和するための条例改正です。

規制緩和を歓迎する私たちは賛成しました。

この条例改正で特区民泊の供給は拡大することが期待されます。

民泊新法と特区民泊との違いは、法律で許容される区域限定。

民泊新法は、住宅地域含めて全域で可能。特区民泊は、ホテル・旅館が建築可能な商業系地域でしか法律で認められていません。だから、特区民泊の宿泊日数の緩和は、 ホテル・旅館が建築可能な商業系地域にしか影響がありません。

大田区で地場の旅館業界が民泊に反対姿勢を持って民泊新法へ強い条例規制をかけたわけですが、主戦場であるホテル・旅館が建築可能な商業系地域には、民泊施設の供給が増加して、競争条件が厳しくなるでしょう。

そうした競争下で設備投資が促進されて、大田区の蒲田や羽田空港周辺のホテル・旅館がよりよいものになっていくことを期待します。

今回の民泊禁止条例に私たちは異議を唱えたものの、その主張が受け入れられなかったのは残念です。
2年後をめどに規制の見直しも検討することとなっています。

住宅地域で民泊を運営したいというニーズは、2020年のオリンピック・パラリンピックに向けてますます大きくなるでしょう。そこで、大田区の不動産オーナーの選択肢が狭まることのないように、機をみて条例改正を働きかけてまいります。

参考文献:大田区区議会だより

〈著者プロフィール〉岡 高志(おか・たかし)
大田区議会議員、行政書士、社会福祉士。1999年東京大学法学部卒。信託銀行、投資会社に12年間勤務。日本国内でのホテル開発投資にも携わる。2011年サラリーマンを辞めて、大田区議会議員選挙に出馬して当選。現在2期目、政党無所属。

 

【全文公開】大田区で民泊条例が全国初成立 住居専用地域などで完全禁止 意見公募も内容変わらず