北海道がまとめた民泊制限条例の素案が明らかになった。住居専用地域では土曜午前0時から日曜深夜24時までの48時間以外は民泊営業を禁止する内容で、実質的にゲストを受け入れることができるのは、土曜日チェックイン/日曜日チェックアウトの週1日のみとなる。家主同居型(5部屋以下)は制限対象外。
住宅宿泊事業法(民泊新法)では「1日」の基準を正午から翌日正午としているが、北海道の民泊条例素案は午前0時から翌午前0時を基準としている。そのため素案では、週単位での民泊可能曜日を「土・日」としているが、日曜日チェックインするとチェックアウトが月曜日にまたがるため、実質的には土曜から1泊しか民泊ゲストを受け入れられないことになる。
北海道総合政策部政策局は民泊大学の取材に対し、時間的な基準点を午前0時としたことについて、「(民泊新法で基準となる)正午を起点にすると、実質的には午前中のチェックイン時間や夕方のチェックアウト時間が、平日の児童・生徒の登下校時間などと重なる恐れがある」と説明している。
住居専用地域では祝日と年末年始(12月31日〜1月3日)も受け入れができるが、祝日が土日などと連続しない場合は、実質的にゲストの受け入れはできない。祝日にチェックインしても、深夜0時を超えて翌日にまたがるチェックアウトは認められないからだ。
学校周辺100メートルでも制限
素案は、住居専用地域以外でも学校周辺100メートルでは登校日には民泊を禁止する内容。実質的には、土・日・祝日と夏休みや冬休みなどの長期休みのみに民泊営業が制限される。そのほか、別荘地や地方集落などでは知事が別途期間を定めて民泊営業を禁止する。
家主同居型(ホームステイ型)は民泊条例で制限されないという規定を盛り込んだが、部屋数が5部屋を超える場合は、家主不在型と同様に民泊条例の制限を受ける。例えば、家主同居型でも1軒家などで5部屋以上を運営する場合は、制限対象となる。
北海道が制定する民泊条例においては札幌市は適用対象外となるが、札幌市もほぼ同様の内容で素案をまとめる見込み。北海道の民泊条例において制限対象となるのは、住居専用地域における制限では函館や小樽市、旭川市など37市町、学校周辺における制限では62市町村となる。
【住居専用地域での制限】
函館市 小樽市 旭川市 室蘭市 釧路市 帯広市 網走市 稚内市 江別市 名寄市 千歳市 砂川市 富良野市 登別市 恵庭市 北広島市 石狩市 北斗市 八雲町 倶知安町 共和町 岩内町 東神楽町 上富良野町 美幌町 斜里町 遠軽町 白老町 洞爺湖町 音更町 幕別町 本別町 浦幌町 釧路町 厚岸町 標茶町 中標津町(37市町)
【学校周辺100メートルでの制限】
函館市 小樽市 旭川市 室蘭市 釧路市 帯広市 北見市 岩見沢市 網走市 留萌市 稚内市 芦別市 江別市 士別市 三笠市 千歳市 滝川市 砂川市 深川市 富良野市 登別市 恵庭市 伊達市 北広島市 北斗市 当別町 七飯町 鹿部町 八雲町ニセコ町 真狩村 倶知安町 共和町 奈井江町 秩父別町 沼田町 東神楽町 当麻町中富良野町 小平町 利尻町 利尻富士町 美幌町 清里町 遠軽町 大空町 白老町 洞爺湖町 浦河町 様似町 音更町 士幌町 中札内村 幕別町 池田町 豊頃町 本別町 浦幌町 釧路町 標茶町 別海町 中標津町(62市町村)
北海道は12月14日〜来年1月13日の日程でパブリックコメント(意見公募)を実施している。http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/ssa/minpaku/public_comment.htm
民泊条例をめぐっては、東京都大田区では住居専用地域における民泊営業を全面禁止に、大田区ではチェックイン日ベースで月曜日から木曜日の営業を禁止する民泊条例案が既に区議会で可決されている。