「民泊新法」に対する意見書を公開 シェアリングエコノミー協会

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家主不在型での上限には「賛成」

家主不在型への上限日数制限及び登録制に賛成します

 家主不在型の場合は、安全面・衛生面の対策及び近隣トラブルの対応をする家主が在宅していないこと、事業として複数物件の運営ができることなどにより、家主居住型とは同列に論じ難い面があります。よって旅館等の経営への配慮及び過度な⺠泊への優遇を避けるイコールフィッティングの観点から上限日数制限を設け、登録制にすることに賛成します。ただし、家主不在型について別荘など一般個人が簡易に管理業者になれるよう配慮すべきです。

 

家主同居型(ホームステイ型)の場合とは反対に、シェアリングエコノミー協会は民泊新法に対する意見書の中で、家主不在型の場合には、営業日数の上限設定に「賛成」の立場ととっている。

この2つの形態の違いについて、まず、「安全面・衛生面の対策及び近隣トラブルの対応をする家主が在宅していないこと、事業として複数物件の運営ができることなどにより、家主居住型とは同列に論じ難い」と分析。その上で「旅館等の経営への配慮及び過度な⺠泊への優遇を避けるイコールフィッティングの観点から上限日数制限を設け」ることに、賛成するとしている。

シェアリングエコノミー協会が発表した形態ごとに対する営業日数上限の是非は、読み解くと納得ができる点も多い。政府が国会に民泊新法を提出した後に議論が行われる中、焦点の一つとして検討が進む可能性もあり、それぞれのメリット・デメリットを把握しながら法案をめぐる国会動向に注目していきたい。

上限日数の設定・・・。民泊新法における事業者の上限日数の設定は、これまでにも大きな注目を浴びてきた。そもそもなぜ上限を設けるのかという理由についてだが、基本的にはホテル業界との調整として「上限日数」という考え方が生まれたものとみられる。

旅館業における営業許可の取得は、さまざまな規制の中でハードルを乗り越え獲得できるもので、ホテル業界側からは「民泊がそもそも登録制ででき、しかも上限二数がないなら、自分たちへの規制と比べて甘すぎないか」という声も。

今後、上限日数がどう議論されているか注目をしていきたい。そもそも上限という考え方が適切なのか、上限の日数が問題になってくるのか、また自治体が民泊新法が定めた上限日数内でさらに上限日数を短くできるようにするのか否か・・・。

家主の過度な負担「避けるべき」

家主居住型の家主への過度な負担を避けるべきです

 家主居住型は、まさに自宅に他人を招いて泊めるという行為であって、「共有型経済」とも言われるシェアの本質をなす活動です。その本質とは私的領域に近い場における他人との分かち合いを、さらなる他者に迷惑をかけないように周囲との対話の下で自重しながら行うというものです。安全安心や近隣トラブルなどへの過度の配慮から入口で重すぎる事前規制をかけると、そもそも分かち合いを始めることができず、共有型経済は発展しません。泊まる人(ゲスト)への配慮から要求される各種要件についても、法律で要求するのではなく、快適さの程度の範囲内の話であれば、プラットフォームが備えた(かつ前述のガイドラインでも要求されている)レビューシステムによる事後規制でも十分であると考えます。

 このような重すぎる事前規制の一つに「標識の掲示」があります。これが自宅の前に電話番号や表札など個人情報を掲示することを指している場合は、家主の個人情報を公にさらし、かえって家主自身の安全を脅かすことになります。さらに住宅宿泊仲介業者にその管理義務を負わせることは反対します。

 また、登録の際に「住宅の図面」を届出書に添付させる必要はありません。在宅型であるという事実をもって最低限の物理的な要件は満たしていると言え、また一般個人に法務局から建物の公図を取り寄せ提出させることは入口に高いハードルを設けることになります。

 宿泊者名簿の設置については、それ自体の必要性には配慮するとしても、電磁的なもので十分である旨、法律または政省令で規定されることが望ましいと考えます。住宅宿泊事業者について、届出要件が過剰な負担にならないよう、その他の部分も含め、政省令をまず確認させていただきたい。

 

最後にシェアリングエコノミー協会が民泊新法に対する意見書の中で掲載したのが、家主居住型(ホームステイ型)の場合においては、家主への過度な負担は避けるべき、という点だ。

まず民泊新法に対する意見書の中で、家主居住型の民泊について、「まさに自宅に他人を招いて泊めるという行為であって、『共有型経済』とも言われるシェアの本質をなす活動」と強調した上で、民泊新法で盛り込まれることが見込まれる「登録時における『住宅の図面』の添付」や「標識の提示」について、「重すぎる事前規制の一つ」と指摘している。

住宅図面の添付については、個人が法務局から建物の公図を取り寄ることの手間や難しさを問題視。標識の提示については、電話番号などの個人情報を掲示することにより家主の個人情報が漏れる危険性を指摘している。

民泊事業を行う会社が所属するシェアリングエコノミー協会が出した民泊新法に対する意見書は、民泊新法に対する業界の声の代表とも言える。民泊新法の法案提出後には国会における審議でも、検討項目の一つとして取り上げられるとみられる。

シェアリングエコノミー協会が今回発表した民泊新法に対する意見書は、シェアリングエコノミー協会ウェブサイト内の「“民泊新法”に対するシェアリングエコノミー協会意見書」(https://sharing-economy.jp/wp-content/uploads/2017/02/96e6967300455dc54ae665d440308e12.pdf)から全文を確認することができる。