空き部屋を旅行者などに有料で貸し出す「民泊」をする際、旅行業法に基づいて大阪市長から許可を受ける義務がないとして、東京都の石原一樹弁護士(31)が9日、大阪市を相手取り、大阪地方裁判所に提訴した。
国は現在、国家戦略特区における民泊条例に基づく「特区民泊」や、行事開催時の宿泊施設不足解消などを目的とした自治体主導の「イベント民泊」を除き、旅館業法において営業許可を受けていない「民泊」は認められない、という姿勢を示している。
報道などによると、石原弁護士は、自身が大阪・西区に借りているワンルームマンション(定員4人)の宿泊希望者を民泊仲介サイト「Airbnb(エアビーアンドビー)」経由で集める行為について、旅館業法に基づく許可を受ける義務はないことを確認することを目的とし、大阪市を提訴したという。
大阪市は国家戦略特区に指定されており、民泊条例も施行済み。その上で、「特区民泊」の事業者認定を受ける方法と旅館業法における営業許可を受ける方法以外の民泊は認められない、という姿勢をとっている。
■規制の合理性に疑問符
旅館業法が施行されたのは、終戦から3年後の1948年。当時は水洗トイレや浴室の設置が少なく、結核による死者も多かった。
石原弁護士は旅行業法の目的の一つとして公衆衛生の確保があると指摘した上で、現在においては一般住宅には浴槽や水洗トイレが普及しており、少人数が宿泊する場合などは旅行業法における規制の合理性が成り立たない、などと争うとみられる。
NHKなどの報道によると、大阪市側は「訴状が届いていないのでコメントできない」などとしているという。