活況、周辺ビジネス、現役ホストから賛否両論
今年6月に成立した住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)は、住宅宿泊事業(新法民泊)のルールを定めて住宅宿泊事業者に都道府県知事への届け出義務を課すとともに、住宅宿泊管理業、住宅宿泊仲介業も定義して、それぞれ国土交通大臣、観光庁長官への登録を義務付けた。施行は公布(6月16日)から1年以内としており、来春にも新法民泊が誕生することになる。既存の民泊運営者(いわゆるホスト)からは「ホスト不在型では撤退が増えるのではないか」「住宅地域で可能になり可能性が広がる」と賛否の声が上がる。関連業務では、新たなビジネスチャンスと体制を強化する動きが活発だ。
民泊新法は、住宅宿泊事業者(ホスト)、住宅宿泊管理業、住宅宿泊仲介業を定義するとともに、ルールを策定。監督と違反した場合のペナルティなどを含む仕組みを構築した。拡大する民泊サービスを急増する訪日外国人観光客の受け皿のひとつにするとともに、法の網をかぶせて公衆衛生の確保、各種トラブルの防止を図ることが狙い。
具体的には「家屋の中に台所、浴室、便所、洗面設備等の設備」を設け、「人の生活本拠として使用されている家屋」または「賃貸借期間の満了後新たな入居者の募集が行われている家屋」に、有償で住宅に人を宿泊させる日数が年間180日(180泊)を超えない場合を「住宅宿泊事業」と定義し、住宅宿泊事業者に都道府県知事への届け出制を導入する。事業者には衛生確保、騒音防止のための説明、苦情への対応、宿泊者名簿の作成・備え付け、標識の掲示などを義務付ける。
いわゆる家主不在型民泊の場合は住宅宿泊管理業者に委託しなければならない仕組み。届け出を条件に、住宅宿泊事業は旅館業法を適用せず、民泊新法によって都道府県(政令市、中核市、特別区など)が監督する。
条例によって、区域・宿泊日数に制限を課すこともできる。
住宅宿泊事業者から委託を受けて、この住宅の維持保全などを担当する者を「住宅宿泊管理業者」と定義。ホストに対して契約書の交付や書面での説明義務を課した。
宿泊契約の仲介、代理、取り次ぎなどを「住宅宿泊仲介業者」とし、観光庁長官への登録制を導入する。いわゆる民泊サイト事業者、民泊プラットフォーム事業者などに網をかぶせている。
法案可決時には、民泊の実態把握と違法民泊の取り締まり、指導・監督を行う保健所などの体制整備、災害時の安全確保、賃貸住宅居住者の居住安定確保などを政府に求める付帯決議によって、違法民泊への取り締まり強化を求めた。