無資格でも有料の通訳案内をできるようにする「改正通訳案内士法」がこのほど、施行された。訪日外国人旅行者の更なる増加を図る上で、各地域で通訳ガイドを増やすことがねらいの一つ。
通訳案内士法の改正案は、政府が昨年3月に閣議決定したあと、国会で5月に成立。8月には施行日を今年1月4日とする政令を閣議決定していた。
国会資格の「通訳案内士」の枠組みは残すが、通訳案内士だけに認められてきた通訳ガイドの「業務独占」の規制を撤廃した形。一方、有資格者以外が「通訳案内士」という名称を名乗ることはできない。
また全国対応の「全国通訳案内士」に加えて、各地域に特化した「地域通訳案内士」の資格制度を創設する。そのほか通訳案内士の質の向上に向け、試験科目に実務項目を追加するほか、全国通訳案内士に対しては、定期的な研修の受講を義務づける。
通訳ガイド制度の充実・強化に向けては、観光庁は2018年度予算で2600万円を計上している。無資格者の通訳ガイドに関する質の確保に向け、実態把握調査や悪質ガイドの防止に向けた広報活動に取り組むほか、有資格者の活用促進に向けた環境整備として、有資格者の情報一元化システムの機能強化などを行う。
これまでは民泊ホストがゲストを有償でガイドするには、「通訳案内士」の国家資格が必要だった。改正法の施行により、今後は資格を持っていないくても有償で通訳ガイドをサービスとして提供できるようになった。
通訳案内士法の改正に合わせ、エイチ・アイ・エス(本社・東京都新宿区)は訪日外国人旅行者と地域の現地ガイドをつなぐマッチングサイト「Travee(トラヴィ)」(https://travee.co/)を既にリリースしている。
同社は「地方自治体と連携を図り、地域通訳案内士を増やすための取り組みと、地域独自の文化や産業を体験できるプラン造成にも注力していきたいと考えております」としている。