民泊、「旅館・ホテル営業」許可も選択肢に? 最低客室数廃止と無人フロント可で浮上も 旅館業法施行令の改正、今月下旬に公布へ

旅館業法の枠組みで民泊を運営する際、最も適しているとされてきた「簡易宿所」。しかし、その「常識」が変わる可能性が出てきた。

旅館業法施行令の改正案がこのほど判明した。内容は、昨年末の改正旅館業法で統合された「旅館・ホテル営業」の構造設備基準において、最低客室数の廃止や便所の設備基準の緩和、玄関帳場(フロント)の基準を緩和することなどが柱だ。

現在は、ホテル営業では最低10室、旅館営業では最低5室の最低客室数が設定されている。このため、この数を下回る部屋で民泊を実施する場合、「ホテル営業」「旅館営業」が選択肢となることは無かった。

しかし、今回判明した旅館業法施行令の改正案では最低客室数の廃止が盛り込まれていることから、部屋数的な側面からは「1室」でも旅館・ホテル営業許可の基準を満たしていることになる。

そのほか、顔認証による本人確認機能などを備えたICT設備を、フロントの代替設備として認めることも盛り込まれている。このことも部屋数が少ない民泊運営者にとっては追い風となりそうだ。

このフロントの代替設備については、旅館業法施行規則の改正案でも言及がある。その内容によると、旅館・ホテル営業でフロントの代替設備を設ける場合は、緊急時の迅速対応や宿泊者名簿への正確な記載、適切な鍵の受け渡しなどが必要となる。

一方で、実際に旅館・ホテル営業での許可取得について検討する場合は、今後予定される衛生等管理要領の改正のほか、地方自治体ごとに検討される条例の改正も注視しながら判断していく必要がある。

旅館業法施行令と施行規則の改正案は、今月21日から下旬の間にも閣議決定を経て公布され、住宅宿泊事業法(民泊新法)とともに6月15日に同時施行される予定。

「旅館業法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案」 及び「旅館業法施行規則の一部を改正する省令案」の概要についてこちらで確認できる。現在、パブリックコメントを募集している。こちらは1月20日(土)まで募集。