【2018年対談】新法施行で変化する民泊マーケット 民泊専門家が見た昨年の動向と今年の展望

条例規制と用途地域

児山:昨年の一大トピックは、民泊新法の成立ですね。特区民泊についても6泊→2泊が一つの流れになり、地域が増えました。

指摘したいのは、旅館業法の緩和を目的とした改正旅館業法が今年6月15日、民泊新法と同時に施行されること。罰金の額の引き上げや保健所の無許可施設への立入検査権といった規制強化と同時に、ホテルと旅館の境界をなくし、政省令改正の中で部屋数の制限がなくなる予定です。

高野:大きな意味での民泊の前進ですね。

児山:2015年の暮れから議論してきて、ようやく規制が形になってきました。2015年が問題提起、2016年に議論、2017年に決定、ようやく今年2018年6月に施行です。

高野:これについては、児山さんが執筆した「民泊革命」を全65回を読んで勉強しました。業界でもっとも早く予想していたのが児山さん。だいたい当たってましたね。

児山:ありがとうございます。議論を見ていれば、大体の方向はわかりましたが、思った以上に時間がかかりました。

民泊新法は、ホスト居住型民泊、シェアハウスの空き部屋、地方の空き家案件、リゾート物件、郊外の再建築不可物件、地上げ中のアパートなどに使えますが、観光客の多い都心部で事業用の制度として使うのは、180日規制の影響が大き過ぎますね。

高野:Airbnb全体の平均稼働率が50%前後なので、180日というのは世界的には妥当なので、その面ではホスト側の勝利だと思うのですが、自治体の上乗せ条例が残念です。

児山:私は、自治体の上乗せ条例は、住居専用地域中心なので、思ったほど響かないかなと考えています。

高野:実は商業地域などの駅近の儲かるエリアというのは、もう他の用途で使っています。

結局は民泊という言葉通り、住居エリアのアパート、マンション、分譲マンション、それに戸建てが伸びしろです。ただ、東京の用途地域マップを見ると、住居専用地域だらけ。したがって、自治体で上乗せされてしまうと、将来民泊新法を緩和しても、自治体の上乗せ規制の避けられません。

児山:でも、意外に住専地域以外も多いですよ。例えば、準工業地域で集客している簡易宿所もあります。他にも、住居地域、近隣商業地域などがあります。確かに住居専用地域も広いですが、その地域は住居地域として環境をできるだけ壊したくないということなので、そこで無理して民泊しなくてもいいかなと私は思っています。

それと用途規制の例外許可が毎年300件程度全国で行われています。住居専用地域で旅館業許可を取得する例も、全国には多いのです。そういう例を地道に増やしていくしかないでしょうね。

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