各地方自治体で2月議会が始まる。この2月議会は民泊関係者にとっては明暗を分ける議会になると言える。住宅宿泊事業法(民泊新法)のスタートと同時に民泊条例を施行させるためには、この議会での条例審議が事実上、最後の審議機会となるからだ。
民泊新法では3月15日に民泊事業者の事前届出受け付けが開始され、6月15日の法律が施行される。民泊新法では騒音などによる生活環境悪化を防止するため、地方条例により民泊実施の追加制限を行うことを認めており、各自治体は条例制定の検討を進めてきた。
各地方自治体における2月議会では通常、次年度(2018年度)の予算案審議のほか、4月から施行する条例の審議などを行う。2月議会が閉会したあとに開かれるのは6月議会(自治体によっては5月議会など)なので、2月議会で民泊条例が審議されない場合は、事実上、民泊新法の施行と同時に民泊条例が施行されることは不可能となる。
例えば広島市。民泊大学が広島市(健康福祉局保健部環境衛生課)に電話取材したところによると、広島市は2月議会に民泊条例案を提出しない。そのため担当者によると、事実上、民泊新法の施行と同時に民泊条例が施行される可能性は無くなったという。
広島市の担当者によると、これまで市に寄せられた民泊に関する苦情は決して多くはなく、民泊について「市内に宿泊する旅行者の選択肢が増えるので、まず民泊を見守りたい」と考えているという。外国人観光客が多い中区には住居専用地域もないことも条例制定を見送った理由という。
一方で、民泊新法のスタート時には民泊条例は施行しないが、その後の市民からの苦情などの状況を見て、民泊新法施行から遅れて民泊条例の制定を検討する可能性はあるという。
民泊の全域一律規制「課すべきではない」 シェアリングエコノミー協会、民泊条例に意見書 重松代表理事「挑戦の芽、摘まないで」
民泊条例、大阪市が「上乗せ制限しない」宣言 合法化推進へ補助制度も整備へ 吉村市長「規制強化してヤミ民泊を増やしたら無意味」