「貸切」させても簡易宿所の要件に合致 旅館業法の条項「多人数で共用する」に抵触するか論点 経産省が公式回答

簡易宿所を「貸切」させても、「多人数で共有する施設」という要件を満たしたことになるか——。旅館業法の取り扱いに関するこういった趣旨の質問に対し、経済産業省が産業競争力強化法に基づく「グレーゾーン解消制度」において公式に回答し、2月9日に内容を公表した。

経済産業省によると、簡易宿所営業の営業許可を受けているペンションやユースホステルなどが宿泊仲介サイトなどで宿泊募集を行い、予約可能人数に達しない場合を含んで家族などの1グループに「貸切」させた場合、簡易宿所に関する旅館業法の下記の規定に抵触しないか、事業者から質問があった。

旅館業法第2条第4項(簡易宿所営業の規定)※旅館業法全文リンク
この法律で「簡易宿所営業」とは、宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、下宿営業以外のものをいう。

「貸切」させた場合に「多人数」という要件を満たしているか、という点が質問・回答のポイントとなった。その上で経産省は「旅館業法施行令上の施設の構造設備の基準を満たしている限り、旅館業法第2条第4項に規定する簡易宿所営業の要件は満たされていると考えて差し支えない」と回答した。

経産省はこの回答を通じてグレーゾーンの取り扱いが解消され、「家族滞在、グループ滞在の需要への対応が進むこととなる」と説明。その上で「今後、2020年東京オリンピック・パラリンピックを見据え、こうした需要を満たす民泊サービスの提供が推進されることが期待されると考えています」としている。

「グレーゾーン解消制度」は、事業に対する規制の適用の有無を、事業者が照会することができる制度。今回は事業所管大臣である経済産業相から規制所管大臣である厚生労働相への確認を経て、回答を行った。

「フロントの設置義務なし」 経産省、簡易宿所営業への質問に回答 コンビニとスマートロック活用したケースについて・・・