民泊(住宅宿泊事業)も対象に見据える宿泊税の導入の動きが、各地の地方自治体で加速している。宿泊税は欧米の観光地などを中心に、世界的には既に多くの地域で導入が進んでいる。日本国内でも、2020年の東京五輪やシェアリングエコノミーの代表格でもある民泊の普及を契機に、宿泊税導入の動きが加速している。
既に東京や大阪では宿泊税が導入されているが、2017年6月の住宅宿泊事業法(民泊新法)の成立後、京都市は市議会審議を経て今年2018年10月に宿泊税条例を施行することを決定した。市内で普及する民泊も含めて、民泊事業者を介して徴収する。
福岡県や金沢市(石川県)、北海道も宿泊税導入に向けて動いている。福岡県は2018年春にも有識者会議を発足させて、具体的な制度設計の内容をまとめる。金沢市も2018年1月から宿泊税導入に向け、意見公募(パブリックコメント)を実施した。金沢市は民泊も含めて課税したい考えだ。
北海道は2018年2月9日に開催された北海道観光審議会の検討部会で、民泊も課税対象に含めた宿泊税の導入を北海道に答申することを決めている。北海道では2017年5月、倶知安町やニセコ町が観光プロモーション費用の確保に向けた宿泊税導入の検討についての動きが報道された。
宿泊税が導入された場合は、徴収した税金の使用目的があらかじめ規定された「法定外目的税」としての性格を帯びる。各自治体は宿泊税の徴収を通じて観光インフラの整備や観光振興に一層力を入れたい考え。一方、民泊事業者にとっては宿泊者からの徴収業務と代行納税業務が増え、業務が増えることなどに対する懸念の声もあがる。
民泊仲介世界大手Airbnbは世界的に宿泊税の代行徴収などを行っているほか、ホテル予約サイト大手「Booking.com」でも各国固有の税金を料金の一部として徴収するシステムを有している。民泊新法の施行による届出などの手続きとともに、今後は宿泊税の徴収についても民泊ホストにとって必要な知識となっていきそうだ。