大阪市の民泊施設で女性の頭部が見つかった事件。兵庫県警は、兵庫県三田市の女性(27)に対する監禁容疑で逮捕済みのアメリカ人容疑者(26)から事情を聴いている。
女性が監禁されていたとみられる大阪市東成区のマンションや、頭部が見つかった大阪市西成区の民泊施設では、特区民泊制度や旅館業法の営業許可を取っていなかった。今回の事件では事件の現場が「ヤミ民泊」だったことに、民泊に対する懸念を示す報道も目立っている。
「ヤミ民泊」か「合法民泊」かに関わらず、宿泊者名簿の作成や顔の確認、パスポートの確認などは、違法行為や犯罪行為、テロ行為の抑止にとって、とても重要な意味を持つ。感染病の追跡調査にとっても必要な情報となる。
事件はホテルでも旅館でも起きるが、民泊施設で名簿作成や必要事項の確認などが徹底して行われない場合、民泊が「犯罪の温床」と呼ばれるようになっても仕方がない。ホテルや旅館、簡易宿所を含め、改めて宿泊者名簿やチェックイン関連の業務を徹底して行うことが求められる。
旅館業法では、行政庁からの提出要求があった場合、営業者は提出する義務があり、警察の閲覧請求にも必要な範囲で協力する旨が定められている。ホテルなどの営業側が宿泊者名簿を備えない場合は5000円以下の罰金、宿泊者側に虚偽記載などがあった場合、30日以下の拘留または1万円以下の罰金が課される。
民泊では住宅宿泊事業法(民泊新法)施行規則や民泊新法ガイドラインで、「氏名」「住所」「職業」「宿泊日」の記載のほか、外国人の場合は「国籍」「旅券番号」「パスポートの写し」などの確認・保管を定めている。
宿泊者全員について確認する必要があり、代表者のみの記載は認められていない。 ICT(情報通信技術)を活用する場合にも宿泊者の顔や旅券が画像により鮮明に確認できることが求められる。名簿の保管期間は3年間。