【第49回】外国人だからと誤解され偏見を持たれた経験『北海道民泊、訪れてよし住んでよし』北海道民泊観光協会 代表理事 南邦彦さん

民泊物件は地域住民のからは

見知らぬ外国人がうろうろして気味が悪い

という声が多いそうです。

先日、大阪の民泊物件内で発生したとされる殺人事件の影響もあり、民泊物件に対しての印象はあまりよくないようです。 民泊物件があることを良く思っていないが、見て見ぬ振りという住民が多いと思いますが、中には民泊物件へ注意喚起の張り紙や鍵を使用できないようにするなど、様々な方法で民泊を排除しようとするケースもあります。

先日は清掃員用のキーボックスが”アロンアルファ”で固められていました。 嫌がらせを受けた多くの民泊ホストはクローズしようかと悩みます。清掃員もショックを受け清掃を続けられなくなったケースもあります。

住民の「見知らぬ外国人がうろうろして気味が悪い」という気持ち、そして嫌がらせを受けたホストの気持ちをも理解できる方法はないかと考えるも、これという打開策は見いだせていません。

もう20年も前の話しになりますが、私はオーストラリアの小さな町(3000人くらい)で3ケ月間、輸出専門食肉加工場で働いた経験があります。当時、狂牛病が発生し北海道の新たな畜産としてダチョウやエミュー(オーストラリアの飛べない鳥)が注目をされました。私はダチョウ・エミュー・シカを食肉処理する研修生として現地で働きながら生活をすることになります。

オーストラリアの小さな3000人の町には東洋人、中国人のリンさんと私の2名です。街を歩いていると小さな子どもは私のことを指を指します。悪気はなく直感的になんか違うなと感じたのでしょう。

不思議な顔をし、お母さん変わった人間がいるよ!と同調を求めていました。 私自身が「見知らぬ外国人がうろうろして気味が悪い」と思われる側の経験をしたことがあるのです。

ステイ先は、丸貸し1軒屋が用意されていましたが、ハウスマニュアルなど無く、ストーブ(南部のため寒いエリア)・シャワーの使い方など理解できず苦労しました。 私はコーヒーには砂糖やミルクを入れずに飲むのが好みなのですが、彼らは砂糖やミルクを入れてガブ飲みするのが通常なようで、コーヒーの飲み方でも奇異な目で見られたり、英会話もあまりできず、顔が童顔に見えるようで子ども扱いをされる、お店では注文したものと違うものが提供される(大盛にされて大盛の値段)など、ステイ当初は散々な経験が続きました。

食肉加工場では内臓類はすべて廃棄されるのですが、リンさんと貧乏性の私はもったいないと、工場長へ許可をもらい、シカのタン・ハツ(心臓)・レバー・ダチョウの胃など、毎日のように持ち帰り、調理し、夕食時に楽しんでいましたが、彼らは私たちを見て”オエ”「Yuck!」って顔をし近づきもしませんでした。 そんな私でしたが食肉加工作業のため、彼らとチームとなり一緒に作業し、休憩し、昼食をとることが続き、次第に仲間として認識してもらえたのです。

週末には合コンのような会へ参加、現地のビクトリアビタというビールや地域のワインをガブ飲みさせられたり、オージーボールというラグビーのようなスポーツをプレー、森(ブッシュ)の中でキャンプ・地域のイベントへ参加を促されるなど、英会話がうまくできない上に、当時スマホやWiFiはないし中でも、貴重な経験・体験をすることができたのです。当時若かったためか。すべて現地の方が支払ってくれました。

『スパニッシュ・アパートメント』という映画があります、留学先であるスペイン、国籍も性別もバラバラの仲間たちとルームシェアをすることになったフランス人青年の奮闘と成長や微笑ましいエピソードです。 スパニッシュ・アパートメントのような経験や体験ができる空間を札幌・北海道でつくることができたらと思っております。

南邦彦(みなみ・くにひこ) /一般社団法人北海道民泊観光協会 代表理事
元保育士養成施設教科専任教員。2014年より障がい者雇用で民泊管理・民泊清掃事業をスタート。北大公共政策大学院卒。公共政策学士。