【民泊新法のポイント(第2回)】年間日数制限(年間180日)について 民泊弁護士 野村祐美子 

弁護士の野村祐美子です。

住宅宿泊事業は、宿泊料を受けて届出住宅に人を宿泊させた日数が1年間で180を超えない範囲でのみ行うことができます[i]

今回の民泊新法のポイントでは、この年間日数制限の算定に関するポイントについてご説明致します[ii]

  • 日数は、毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までの期間において人を宿泊させた日数で計算し、正午から翌日の正午までの期間を1日とします[iii]。つまり、180日を超えないとは、180泊を超えないということです。
  • 宿泊者を募集した日数ではなく、実際に人を宿泊させた日数で算定します[iv]
  • 住宅宿泊事業者ごとではなく、届出住宅ごとに日数を算定します[v]
  • 複数の宿泊グループが同一日に宿泊していたとしても、同一の届出住宅における宿泊であれば、複数日ではなく、1日と算定します[vi]
  • 宿泊料を受けて届出住宅に人を宿泊させた実績があるのであれば、短時間の滞在であり日付を越えていない場合であっても1日と算定します[vii]
  • 住宅宿泊事業を新たに営もうとする者は、当該1年間における当該住宅の宿泊実績について都道府県又は保健所設置市等に確認することにより、意図せずに法令に違反することのないよう努める必要があります[viii]

民泊新法における年間日数制限は、1年間で180日とされていますが、都道府県等は、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するため必要があるときに、合理的に必要と認められる限度で日数制限を加重できます[ix]。そのため、実際に民泊事業に携わる際には、民泊新法だけでなく、各自治体の条例(案)も確認する必要があります。

ガイドラインにおいては、法の目的に則り、区域及び期間の設定はいずれも合理的に必要と認められる限度とすることが求められ、特に、住居専用地域全域を制限対象とすることは、住居専用地域を含めて民泊サービスの普及を目的とした法の趣旨を踏まえて十分な検証が必要とされています[x]。もっとも、各自治体の条例(案)では、住居専用地域を制限対象とする例も多く、留意が必要です。

以上、今回は、年間日数制限の算定に関するポイントについてご説明致しました。

野村 祐美子(のむら ゆみこ)
森・濱田松本法律事務所 弁護士
訴訟等の紛争解決、企業法務全般を幅広く手掛ける。民泊新法・旅館業法など宿泊関連分野にも注力しており、「住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)のガイドラインについて」(ARES不動産証券化
ジャーナルVol.41)を共同執筆。

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[i]      法2条3項

[ii]     本連載の中で意見にわたる部分は筆者の個人的見解であり、筆者の所属する法律事務所の見解ではありません。

[iii]    規則3条

[iv]     ガイドライン1-1.(2)①

[v]      ガイドライン1-1.(2)①

[vi]     ガイドライン1-1.(2)①

[vii]    ガイドライン1-1.(2)①

[viii]   ガイドライン1-1.(2)①

[ix]     法18条

[x]      ガイドライン2-4.(1)①