【民泊新法のポイント(第3回)】住宅宿泊事業の類型について  民泊弁護士 野村祐美子

弁護士の野村祐美子です。 

今回の民泊新法のポイントでは、住宅宿泊事業の類型についてご説明致します[i]

住宅宿泊事業の類型として、

①住宅に宿泊客が滞在する間、事業者が不在となる類型(家主不在型
②事業者が自ら居住する住宅の一部を宿泊客に提供する類型(家主居住型

の2種類があります。

①家主不在型は、家主が自己の遊休資産である不動産を民泊として有効活用する場合や出張や旅行で不在とする場合を想定しています。家主不在型では、家主は住宅の管理業務を住宅宿泊管理業者に委託することが義務付けられています[ii]

ここでいう「不在」には、一時的な不在、すなわち、生活必需品の購入等の日常生活を営む上で通常行われる行為に要する時間の範囲内の不在(原則1時間(例外的な場合に2時間程度))は含まれません[iii]

家主不在型の場合でも、例外として、住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する住宅と届出住宅が、同一の建築物内若しくは敷地内にあるとき又は隣接し[iv]、かつ、届出住宅の居室が5室以内のときは、住宅宿泊管理業務を委託しなくてもよいものとされています[v]

②家主居住型は、ホームステイのような形態を想定しており、宿泊期間中、家主が当該住宅を管理します。

家主居住型の場合には、原則として、住宅宿泊管理業者に住宅の管理業務を委託する義務はありませんが、届出住宅の居室の数が6室以上のときは、住宅宿泊管理業者に住宅の管理業務を委託する必要があります[vi]

以上、今回は、住宅宿泊事業の類型についてご説明致しました。

野村 祐美子(のむら ゆみこ)
森・濱田松本法律事務所 弁護士
訴訟等の紛争解決、企業法務全般を幅広く手掛ける。民泊新法・旅館業法など宿泊関連分野にも注力しており、「住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)のガイドラインについて」(ARES不動産証券化
ジャーナルVol.41)を共同執筆。

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[i]      本連載の中で意見にわたる部分は筆者の個人的見解であり、筆者の所属する法律事務所の見解ではありません。

[ii]     法11条1項2号

[iii]    規則9条3項、ガイドライン2-2.(7)③

[iv]     住宅宿泊事業者が当該届出住宅から発生する騒音その他の事象による生活環境の悪化を認識することができないことが明らかであるときを除きます(規則9条4項1号)。

[v]      規則9条4項

[vi]     法11条1項1号、規則9条2項