【民泊新法のポイント(第5回)】宿泊者の衛生の確保について 民泊弁護士 野村祐美子

弁護士の野村祐美子です。

今回の民泊新法のポイントでは、住宅宿泊事業者の義務(家主不在型の住宅宿泊事業では、住宅宿泊事業者に代わり管理業務の委託を受けた住宅宿泊管理業者の義務)の一つである、宿泊者の衛生の確保のポイントについてご説明致します[i]

宿泊者の衛生の確保のために、届出住宅について、

①その居室[ii]床面積[iii]を宿泊者1人当たり3.3m2以上確保すること
②定期的な清掃及び換気を行うこと

が必要となります[iv]

②に関して、以下の具体的な措置をとることが必要となります[v]

  • 届出住宅の設備や備品等については清潔に保ち、ダニやカビ等が発生しないよう除湿を心がけ、定期的に清掃、換気等を行うこと
  • 寝具のシーツ、カバー等の直接人に接触するものについては、宿泊者が入れ替わるごとに洗濯したものと取り替えること
  • 届出住宅に、(追い炊き機能付き風呂や24時間風呂などの)循環式浴槽加湿器を備え付けている場合は、宿泊者が入れ替わるごとに浴槽の湯は抜き、加湿器の水は交換し、汚れやぬめりが生じないよう定期的に洗浄等を行うなど、取扱説明書に従って維持管理すること
  • 宿泊者が人から人に感染し、重篤な症状を引き起こすおそれのある感染症に罹患し又はその疑いがあるときは、保健所に通報するとともに、その指示を受け、その使用した居室、寝具、及び器具等を消毒・廃棄する等の必要な措置を講じること
  • 公衆衛生上の問題を引き起こす事態が発生し又はそのおそれがあるときは、保健所に通報すること
  • 衛生管理のための講習会を受講する等、最低限の衛生管理に関する知識の習得に努めること

上記以外にも、住宅宿泊事業の規模や実態に応じて、「旅館業における衛生等管理要領」(平成12年生衛発1811号厚生省生活衛生局長通知)を参考に、適切な衛生措置を講じることが望ましいものとされています[vi]

以上、今回は、宿泊者の衛生の確保のポイントについてご説明致しました。

野村 祐美子(のむら ゆみこ)
森・濱田松本法律事務所 弁護士
訴訟等の紛争解決、企業法務全般を幅広く手掛ける。民泊新法・旅館業法など宿泊関連分野にも注力しており、「住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)のガイドラインについて」(ARES不動産証券化
ジャーナルVol.41)を共同執筆。

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[i]      本連載の中で意見にわたる部分は筆者の個人的見解であり、筆者の所属する法律事務所の見解ではありません。

[ii]     住宅宿泊事業に使用されるものに限ります。

[iii]    宿泊者が占有する部分の面積を指します(宿泊者の占有ではない台所、浴室、便所、洗面所、廊下のほか、押入れ、床の間は含みません。)。具体的には、旅館業法に基づく簡易宿所の取扱いと同様に算定します。なお、内寸面積で算定します(ガイドライン2-2.(1)①)。

[iv]     法5条、厚労省規則

[v]      ガイドライン2-2.(1)①

[vi]     ガイドライン2-2.(1)①