弁護士の野村祐美子です。
今回の民泊新法のポイントでは、住宅宿泊事業者の義務(家主不在型の住宅宿泊事業では、住宅宿泊事業者に代わり管理業務の委託を受けた住宅宿泊管理業者の義務)の一つである、外国人観光客である宿泊者の快適性及び利便性の確保のポイントについてご説明致します[i]。
住宅宿泊事業者等は、外国人観光客である宿泊者の快適性及び利便性の確保のため、外国人観光客である宿泊者に対し、外国語を用いて、以下の案内等を行う必要があります[ii]。
①届出住宅の設備の使用方法に関する案内
②移動のための交通手段に関する情報提供
⇒具体的には、最寄りの駅等の利便施設への経路と利用可能な交通機関に関する情報の提供
③火災、地震その他の災害が発生した場合における通報連絡先に関する案内
⇒具体的には、消防署、警察署、医療機関、住宅宿泊管理業者への連絡方法の情報の提供
④その他の外国人観光客である宿泊者の快適性及び利便性の確保を図るために必要な措置
これらの案内等の具体的な方法としては、必要な事項が記載された書面を居室に備え付けることによるほか、タブレット端末への表示等により、宿泊者が届出住宅に宿泊している間必要に応じて閲覧できる方法によることが望ましいものとされています[iii]。特に、災害時等の通報連絡先においては、緊急時にすみやかに確認することが可能なものを備え付けておく必要があります[iv]。
これらの案内等は、外国語、すなわち、宿泊予約の時点において日本語以外の言語として提示した言語で行う必要がありますが、宿泊予約の時点で、外国人宿泊者が日本語を指定した場合には、外国語で案内等を行う必要はありません[v]。
以上、今回は、外国人観光客である宿泊者の快適性及び利便性の確保義務のポイントについてご説明致しました。
野村 祐美子(のむら ゆみこ)
森・濱田松本法律事務所 弁護士
訴訟等の紛争解決、企業法務全般を幅広く手掛ける。民泊新法・旅館業法など宿泊関連分野にも注力しており、「住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)のガイドラインについて」(ARES不動産証券化
ジャーナルVol.41)を共同執筆。
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[i] 本連載の中で意見にわたる部分は筆者の個人的見解であり、筆者の所属する法律事務所の見解ではありません。
[ii] 法7条、国交省規則2条、ガイドライン2-2.(3)①
[iii] ガイドライン2-2.(3)①
[iv] ガイドライン2-2.(3)①
[v] ガイドライン2-2.(3)①