【第52回】賃貸と民泊の併用『北海道民泊、訪れてよし住んでよし』北海道民泊観光協会 代表理事 南邦彦さん

お子さんの卒業式や春からの入学についての準備を掲載されている様子をSNSなどを通して目にする方も多いかと思います。私は前職は保育士養成校におりました。この時期はすでに次の学生募集の準備をスタートさせる側におりました。早ければ10月、半年後には合格予定者を確定させます。

今回のコラムでは、家賃スライドと民泊運用180日についてです。

札幌には家賃スライドという学生向けの制度があります。 家賃スライドとは、大学生や専門学校、新入学生のための制度で、学生のために部屋を予約しておく制度です。

推薦、AO入試等々で10月には合格が確定というケースもあります。 合格が確定すると4月からの学生生活に向けて早めに準備を進めることが可能です。その準備の中に部屋探しも含まれます。 条件にあった部屋のピックアップと入居するタイミングに3~6ヶ月のズレが生じます。 契約をすると、当然ながら賃料が発生します。そうなると学生の金銭的な負担が大きくなるため、春から入居してくれるのであれば部屋を空けておきますよというサービスが家賃スライドです。(札幌では広く知られている仕組みです。)

供給過多と言われる札幌市の賃貸物件事情が背景にあります。 アパートオーナーにとっては3~6ヶ月家賃が入らないという厳しい条件ではありますが、春からの入居が確定をするというメリットもあります。

しかし、アパートオーナーの中には住宅宿泊事業法(民泊新法)を活用をし、家賃スライド期間を民泊で運用しようとする試みがスタートしております。今春はテスト期間となりますが、今年の秋には法の運用に沿った本格始動することができそうです。

アパートオーナーにとっては遊休資産を活用することができますし、入居予定の学生へ民泊で使用した家具家電をそのまま提供することも可能です。 また18歳人口減による学生獲得が難しいとされる専門学校や大学は早期合格と住居のあっせんによる学生の囲い込みが過熱しており、そこに、このような家賃スライドを入学希望者へ提案することには協力的です。

人間万事塞翁が馬 (じんかんばんじさいおうがうま)という例え話があります。福から禍(わざわい)へ、また禍(わざわい)から福へと人生に変化をもたらします。禍福というのは予測が難しいという意味です。 民泊運用180日ルールについても、福から禍へ、はたまた禍から福へ、なのか。民泊現場では日々試行錯誤が続いております。

南邦彦(みなみ・くにひこ) /一般社団法人北海道民泊観光協会 代表理事
元保育士養成施設教科専任教員。2014年より障がい者雇用で民泊管理・民泊清掃事業をスタート。北大公共政策大学院卒。公共政策学士。