【民泊新法のポイント(第13回)】住宅宿泊管理業務の委託・再委託について  民泊弁護士 野村祐美子

今回の民泊新法のポイントでは、住宅宿泊管理業務の委託・再委託のポイントについてご説明致します。なお、本連載の中で意見にわたる部分は筆者の個人的見解であり、筆者の所属する法律事務所の見解ではありません。(関連条文等:法11条、法35条、規則9条、ガイドライン1-1.(4)②、ガイドライン2-2(7)①、ガイドライン3-2.(12)②及び③)

【委託について】

住宅宿泊事業者⇒(委託先)住宅宿泊管理業者

届出住宅の居室の数が6室以上の場合や家主不在型の場合など、住宅宿泊事業者が法111項の規定に基づいて住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託する必要がある場合には、契約により、住宅宿泊管理業務の全部を、一の住宅宿泊管理業者に対して、委託しなければなりません。住宅宿泊事業者は、複数の住宅宿泊管理業者に分割して委託することや、住宅宿泊管理業務の一部を住宅宿泊事業者が自ら行うことはできません

【再委託について】

住宅宿泊事業者⇒(委託先)住宅宿泊管理業者⇒(再委託先)事業者

住宅宿泊事業者と住宅宿泊管理業者の管理受託契約において住宅宿泊管理業務の再委託が許容されている場合には、住宅宿泊管理業者は、住宅宿泊管理業務の一部を再委託することは可能ですが、住宅宿泊管理業務の全部を他の者に再委託することは禁止されています。

住宅宿泊管理業務を複数の者に分割して再委託して、住宅宿泊管理業者自らは住宅宿泊管理業務を一切行わないことも法35条に違反するものとされています。

なお、再委託を受けて住宅宿泊管理業務の一部の事実行為を行うことは、住宅宿泊管理業には該当しないものと解されますので、再委託先は住宅宿泊管理業者である必要はないものの、住宅宿泊管理業者が再委託先の住宅宿泊管理業務の実施について責任を負うこととなりますので、法25条各号(同条11号を除く。)の登録拒否要件に該当しない事業者に再委託することが望ましく、また、再委託期間中は、住宅宿泊管理業者が責任をもって再委託先の指導監督を行うことが必要であるものとされています。

以上、今回は、住宅宿泊管理業務の委託・再委託のポイントについてご説明致しました。

野村 祐美子(のむら ゆみこ)
森・濱田松本法律事務所 弁護士
訴訟等の紛争解決、企業法務全般を幅広く手掛ける。民泊新法・旅館業法など宿泊関連分野にも注力しており、「住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)のガイドラインについて」(ARES不動産証券化
ジャーナルVol.41)を共同執筆。