【民泊新法のポイント(第14回)】住宅宿泊管理業者から住宅宿泊事業者への定期報告について  民泊弁護士 野村祐美子

今回の民泊新法のポイントでは、住宅宿泊管理業者から住宅宿泊事業者への定期報告のポイントについてご説明致します。なお、本連載の中で意見にわたる部分は筆者の個人的見解であり、筆者の所属する法律事務所の見解ではありません。(関連条文等:法40条、国交省規則21条ガイドライン3-2.(16))

住宅宿泊管理業者は、管理受託契約を締結した住宅宿泊事業者に住宅宿泊管理業務の実施状況等について、定期的に、報告する義務があります。

具体的には、住宅宿泊管理業者は、住宅宿泊事業者の事業年度終了後及び管理受託契約の期間の満了後、遅滞なく、以下の事項を記載した住宅宿泊管理業務報告書を作成し、住宅宿泊事業者に交付して説明する必要があります。

1.報告の対象となる期間

2.住宅宿泊管理業務の実施状況

管理受託契約において委託を受けた業務の全てについて報告する必要があります。
苦情への対応状況も含まれます。

3.届出住宅の維持保全の状況

台所、浴室、便所、洗面設備の状態に加えて、水道や電気などのライフラインの状態についても報告する必要があります。
ドアやサッシなどの届出住宅の設備の状態についても報告を行うことが望ましいものとされています。

4.届出住宅の周辺地域の住民からの苦情の発生状況

・苦情の発生した日時、苦情を申し出た者の属性苦情内容等について、把握可能な限り記録し、報告する必要があります。
・単純な問い合わせは、記録も報告もする必要はありませんが、苦情を伴う問合せについては、記録した上で、対処状況も含めて報告する必要があります。

以上、今回は、住宅宿泊管理業者から住宅宿泊事業者への定期報告のポイントについてご説明致しました。

野村 祐美子(のむら ゆみこ)
森・濱田松本法律事務所 弁護士
訴訟等の紛争解決、企業法務全般を幅広く手掛ける。民泊新法・旅館業法など宿泊関連分野にも注力しており、「住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)のガイドラインについて」(ARES不動産証券化
ジャーナルVol.41)を共同執筆。