【民泊新法のポイント(第16回)】住宅宿泊管理業者の苦情等への対応について 民泊弁護士 野村祐美子

今回の民泊新法のポイントでは、住宅宿泊管理業者の苦情等への対応のポイントについてご説明致します。なお、本連載の中で意見にわたる部分は筆者の個人的見解であり、筆者の所属する法律事務所の見解ではありません。(関連条文等:法10条、法25条1項11号、国交省規則9条、ガイドライン3-1.(7) 、ガイドライン3-2.(13))

周辺住民からの苦情等への対応のポイントについては、第7回で解説を致しましたが、住宅宿泊管理業者の場合は、更に以下の点にも留意が必要です。

・苦情及び問合せが、緊急の対応を要する場合には、関係機関への通報のほか、住宅宿泊事業者に対しても報告すること

・苦情への対応については、必要に応じてすみやかに現地へ赴くこと

⇒苦情があってから現地に赴くまでの時間は、30分以内(ただし、交通手段の状況等により現地に赴くまでに時間を要することが想定される場合は、60 分以内)が目安とされています。

ガイドラインでは、住宅宿泊管理業者の登録を受けようとする者に対して、常時、宿泊者と連絡を取ることが可能な人員体制を備えることを求めるとともに、従業者が苦情対応で現地に赴いている間も、別の苦情に応対可能であるような体制を常時確保することを求めています。このような体制を備えていない場合には、住宅宿泊管理業者の登録の拒否事由である、住宅宿泊管理業を的確に遂行するための必要な体制が整備されていない者に該当してしまうので、住宅宿泊管理業者の登録が受けられません。

以上、今回は、住宅宿泊管理業者の苦情等への対応のポイントについてご説明致しました。

野村 祐美子(のむら ゆみこ)
森・濱田松本法律事務所 弁護士
訴訟等の紛争解決、企業法務全般を幅広く手掛ける。民泊新法・旅館業法など宿泊関連分野にも注力しており、「住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)のガイドラインについて」(ARES不動産証券化
ジャーナルVol.41)を共同執筆。