住宅宿泊管理業を営むためには、登録を受ける必要があります。登録を受けずに住宅宿泊管理業を行った場合には、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はその両方が科されます。
法の定める一定の登録拒否事由に該当する場合には、住宅宿泊管理業者の登録を受けることができません。今回は、この登録拒否事由について見てみましょう。なお、本連載の中で意見にわたる部分は筆者の個人的見解であり、筆者の所属する法律事務所の見解ではありません。(関連条文等:法22条、法25条、法72条、国交省規則8条、ガイドライン3-1.(6))
住宅宿泊管理業者の登録拒否事由は、以下のとおりです。
- 成年被後見人又は被保佐人
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 登録を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
- 刑罰等の執行後、5年を経過しない者
- 暴力団員等
- 住宅宿業管理業に関して不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者
- 未成年者でその法定代理人が①~⑥までのいずれかに該当するもの
- 法人であって、役員のうちに①~⑥までのいずれかに該当する者があるもの
- 暴力団員等がその事業活動を支配する者
- 財産的基礎を有しない者
- 住宅宿泊管理業を的確に遂行するための必要な体制が整備されていない者
上記10.の「財産的基礎を有しない者」については、
・負債の合計額が資産の合計額を超えないこと
・支払不能に陥っていないこと
と規定されています。この「支払不能に陥っていないこと」とは、債務者が支払能力の欠乏のため弁済期にある全ての債務について継続的に弁済することができない客観的状態のことをいいます。なお、支払能力の欠乏とは、財産、信用、あるいは労務による収入のいずれをとっても債務を支払う能力がないこととされています。
以上、今回は、住宅宿泊管理業者の登録拒否事由についてご説明致しました。次回は、上記⑪の「住宅宿泊管理業を的確に遂行するための必要な体制が整備されていない者」についてご説明致します。
野村 祐美子(のむら ゆみこ)
森・濱田松本法律事務所 弁護士
訴訟等の紛争解決、企業法務全般を幅広く手掛ける。民泊新法・旅館業法など宿泊関連分野にも注力しており、「住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)のガイドラインについて」(ARES不動産証券化
ジャーナルVol.41)を共同執筆。