【第62回】人間交差点『北海道民泊、訪れてよし住んでよし』北海道民泊観光協会 代表理事 南邦彦さん

『人間交差点』という私が高校生時代によく読んだ漫画があります。

1980年から1990年まで連載された232話、世相を反映した内容でバブル経済などを取り上げた、1話完結の短編集です。1話1話にその人間模様、織物の糸のように、縦・横と複雑に絡みあう様子が描かれています。

青年期に、「人間交差点」を通してバブル社会を覗いていました。 民泊事業に携わり約4年、人間交差点に描かれるようなヒューマンドラマの連続です。「民泊って違法なんですよね」と聞かれることも多々あります。私は「その通りです」と否定はしません。民泊事業は違法ビジネスであるために、離れていった人、隠れて事業を行う人、あの手この手で続ける人、違法だからこそ力を貸してくれる人、様々でした。

民泊事業者に対する首長・議会議員・所管する行政担当者の対応も人それぞれです。 私は全国各地で広がった民泊ビジネスは、内閣府成長戦略の柱として位置づけている観光立国の実現に貢献すると感じました。 民泊事業へ携わる中で不動産物件へ興味をもつようになり、不動産関係者ともつながりも深くなっていきました。 ホテルが足りないから民泊という側面もありますが、人口減少社会における遊休資産の活用という角度からも民泊事業の検討が必要だと確信することとなります。

今後も国は、訪日客の増加を見込める国や地域・重点国を決めて訪日促進PRや観光ビザの緩和などさらに行っていくことでしょう。 住宅宿泊事業法施行によって民泊事業をより活用・発展させろうとする地域と、そうではない地域にどのような格差が発生するのか・しないのか、今後も継続をしてウォッチして行きたいと思います。

南邦彦(みなみ・くにひこ) /一般社団法人北海道民泊観光協会 代表理事
元保育士養成施設教科専任教員。2014年より障がい者雇用で民泊管理・民泊清掃事業をスタート。北大公共政策大学院卒。公共政策学士。