【第61回】民泊ビジネスも変化する『北海道民泊、訪れてよし住んでよし』北海道民泊観光協会 代表理事 南邦彦さん

私は前職NPO法人による保育士養成施設の立ち上げ・運用を行っていました。NPO法人による保育士養成施設は全国で初めての取り組みです。

学校法人運営との大きな違いは授業時間数が約半分で済むということです。 文部科学省所管、学校法人は授業時間数の縛りがあります、NPO法人による保育士資格養成校の場合、学校法人の縛りは無く、厚生労働省から求められる内容を履修することで資格取得が可能です。

授業時間数を半分とすることでスタディー&ワークを実現することができました。例えば、午前は保育の学び、午後から保育所で保育補助として勤務(収入確保)。 保育に携わる多くの関係者、教員などから授業時間数が通常の半分で本当に資格取得が可能なのか?と疑念の声が寄せられグレービジネスと揶揄されました。

保育士養成に関しては、既存の保育士養成校の対象は、18歳の高卒者としております、NPO法人による保育士養成は社会人や学費をねん出しなければならい方を対象としており、多様な教育を確保するために新たな仕組みが必要なのです。

結果的には学位は得られませんが保育士資格取得は可能であり、社会人や経済的困難な方が保育を学ぶ場、資格取得の受け皿として、新たな保育士養成のカタチとして認知されつつあります。今後は通学と通信との境がなくなる、更には外国人の受け入れなど資格取得専門学校(施設)も 変容していくことでしょう。

4年前、私が民泊現場の清掃へ入った時、NPO法人による保育士養成立ち上げと似たような感触を得ました。保育士不足の中、保育士養成は社会に必要とされる事業と考えていましたが、宿泊ニーズと空室対策・雇用などを同時に満たす民泊ビジネスの広がりは社会的な意義が大きく、これほどやりがいのある事業はないと強く確信しました。 私が保育士養成事業から民泊清掃事業へ転換を図ったころでした。

ある上場会社(代表取締役・従業員・関係者・関連法人)が旅館業法違反(無許可営業)の疑いで書類送検されたという報道がありました。その内容は民泊運営者に対する運営支援等サービスが実際には民泊運営者に該当するという見解です。 既存の宿泊業の方々が規制に基づき設備投資を行ってきたところへ、新規民泊事業者が規制を受けずに事業展開をすることに対する批判があることは承知していましたが、この記事は衝撃的で、民泊関係者の多くが民泊ビジネスを続けることは難しく、新規ビジネス創出のチャンスを鈍化させるのではと心配しました。

結果的には過去に民泊運営支援サービスを行うことで旅館業法違反の疑いで書類送検されたことは忘れられるまでに至り、全国各地にある遊休資産(空室・空家)を各プレーヤーが民泊へ利活用・転用することで、民泊物件は国内6万件を超えるほど拡大をしました。

「諸行無常」という言葉があります、仏教用語でこの世の現実存在はすべて、すがたも本質も常に流動変化するものであり、一瞬といえども存在は同一性を保持することができないことです。

民泊ビジネスも同様に、素晴らしいと言われていた仕組みも数年で陳腐化することも当然あると思います。宿泊業に対する考え方・仕組み・常識も時代とともに移り変わっていくことでしょう。

南邦彦(みなみ・くにひこ) /一般社団法人北海道民泊観光協会 代表理事
元保育士養成施設教科専任教員。2014年より障がい者雇用で民泊管理・民泊清掃事業をスタート。北大公共政策大学院卒。公共政策学士。