【民泊新法のポイント(第22回)】住宅宿泊管理業者の不当な勧誘等の禁止について 民泊弁護士 野村祐美子

今回の民泊新法のポイントでは、住宅宿泊管理業者の不当な勧誘等の禁止のポイントについてご説明致します。なお、本連載の中で意見にわたる部分は筆者の個人的見解であり、筆者の所属する法律事務所の見解ではありません。(関連条文等:法第32条、国交省規則第13条、ガイドライン3-2.(4))


住宅宿泊管理業者は、以下の行為をすることが禁止されています。

  1. 管理受託契約の締結の勧誘にあたり又は管理受託契約の解除を妨げるため、管理受託契約に関する重要な事項について、住宅宿泊事業者に対して、不実のことを告げたり、告げないでおくこと
  2. 住宅宿泊管理業に関して住宅宿泊事業者の保護に欠ける以下のア~ウの行為をすること

ア 住宅宿泊事業者が迷惑を覚えさせるような時間に電話または訪問により勧誘する行為

→「迷惑を覚えさせるような時間」については、相手方となる家主の職業や生活習慣等に応じ、個別に判断され、一般的には、相手方に承諾を得ている場合を除き、特段の理由が無く、午後9時から午前8時までの時間帯に電話勧誘または訪問勧誘を行うことは、「迷惑を覚えさせるような時間」の勧誘に該当するものとされています。

イ 契約の締結または更新をしない意思を示した住宅宿泊事業者に対して執拗に勧誘する行為

届出住宅の所在地、住宅宿泊管理業者の営業所または事務所の所在地、これらの営業所または事務所における人員体制、住宅宿泊管理業務の再委託先の事業者の業務体制、届出住宅周辺の交通事情等を勘案して、住宅宿泊管理業務の適切な実施を確保できないことが明らかであるにもかかわらず、当該住宅宿泊管理業務に係る管理受託契約を締結する行為

→住宅宿泊管理業者が管理受託契約の締結の勧誘をするにあたっては、住宅宿泊管理

業務の適切な実施が確保できることを明らかにするため、届出住宅へすみやかに駆

けつけることが可能な体制を有していることを住宅宿泊事業者に示しながら行うこ

とが望ましいものとされています。

以上、今回は、住宅宿泊管理業者の不当な勧誘等の禁止のポイントについてご説明致しま

した。

野村 祐美子(のむら ゆみこ)
森・濱田松本法律事務所 弁護士
訴訟等の紛争解決、企業法務全般を幅広く手掛ける。民泊新法・旅館業法など宿泊関連分野にも注力しており、「住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)のガイドラインについて」(ARES不動産証券化ジャーナルVol.41)を共同執筆。