【徹底解説レポート④】Airbnbが突然リスティングを非掲載に!今後の宿泊市場への影響について

6月2日、Airbnbが民泊新法への届出番号または旅館業の許可などの許認可情報のない物件関して、突然リスティングを非掲載にした。

【速報】Airbnb、民泊新法施行日待たず本日より未届け物件を突如「非掲載」へ 観光庁の通知を受け

それにより、民泊調査会社はりうす(神奈川県藤沢市)によると4月時点で約57,000件あったリスティングが、非掲載後Airbnbのリスティング数は8割減の約13,800件になったという。
私も4日、Airbnbで日付を指定せずに新宿付近を検索した所、15件程度の物件しか出てこなかった。
今からAirbnbのリスティングが非掲載になったことによる、宿泊市場への影響について考えていきたい。

−なぜAirbnbは非掲載にしたのか?

理由としては、6月1日に観光庁から住宅宿泊仲介事業者に対して違法物件の6月15日以降の未来予約に関して、取り消しまたは適法物件への予約変更を求める通知を出したことで、今回Airbnbはリスティングの非掲載を行ったと考えられる。

また、削除ではなく非表示としたのは、今後民泊ライセンスもしくは旅館業の許可を取得した際にすぐにリスティングに復活できるようにするためである。

−今後の宿泊市場への影響について

1.需要過多になり、宿泊単価は必然的に上がる

当たり前だが、宿泊単価は泊まりたい人と泊めたい人の双方のバランスによって決まる。
泊まりたい人が多く、泊めたい人が少なかったら宿泊単価は高くなり、
泊まりたい人が少なく、泊めたい人が多かったら宿泊単価は安くなる。

今回は前者で、泊まりたい人はこれからも増えていくというのに、
宿泊施設が足りないのでは、宿泊単価は必然的に上がる。

場所により、宿泊単価の上昇は異なるが、
Airbnbのリスティング数が多かった東京や大阪などは他の地域と比べて
宿泊単価の上げ幅が大きくのなるのではと考えられる。

2.小規模ホテルのAirbnbでのリスティングが加速

違法民泊施設のリスティングが非掲載になったことで、
新宿区でさえも15件程度の物件数になっている。

そのため旅館業法での簡易宿所や特区民泊などの適法施設が今Airbnbに参画した際、
供給が少く、需要が高いため、参画することでかなりの恩恵を受られる。

また、手数料も通常のOTAよりも安く、ホスト負担は3%~5%と通常のOTA手数料の
2分の1ないしは3分の1程度に収めることができる。
そして、2017年のインバウンド旅行者の585万人がAirbnbを利用したというデータがあることから
インバウンド集客に対しても今後他の海外OTA同様に強力なチャネルとなる。

3.改正旅館業法による民泊施設の増加

撤退を余儀なくした民泊施設や今後また始めようと考えている民泊運営者にとって、
6月15日に改正される旅館業法も魅力的である。

今までは旅館営業、ホテル営業とあったのが、改正により
新たに旅館・ホテル営業と新しい許可スタイルがうまれる。
詳細は過去の記事を参照:民泊、「旅館・ホテル営業」許可も選択肢に? 最低客室数廃止と無人フロント可で浮上も 旅館業法施行令の改正、今月下旬に公布へ

それにより、最低客室数が撤廃され1室から取得可能になったり、
ICT設備を用いることで玄関帳場を設けることが不要になったり、
便所の設備基準が緩和されたりする。

そのため、今後はアパートの一室からでも旅館業法を取得できる施設が増えてくるのでは
ないかと考えられる。

−最後に

ホームステイ型や個人が行っている民泊施設などが非掲載になり、
今後は法人が管理する民泊施設、そしてホテルや旅館といった、
既存のOTAにも掲載されているような施設がAirbnbにもどんどん掲載されていく。

そうなったとき、Airbnbが他のOTAと同化してしまっては面白くない。

Airbnbは『人生を変える』体験を提供するということを掲げているため、

ただの宿泊予約ではなく、人生を変えるような宿泊体験そして旅での体験を提供し続けてほしい。

(民泊大学研究生・受田宏基)