【第110回】アイヌ文化と民泊『北海道民泊、訪れてよし住んでよし』北海道民泊観光協会 代表理事 南邦彦さん

北海道内平取(びらとり)町へ伺い民泊セミナーの講師を担当させていただきました。平取町は人口約5400人、札幌から日高(高速バス)で1時間50分、新千歳空港から車で50分のところにあり、豊かな自然とアイヌ文化の拠点の1つの町として広く知られています。(アイヌは北海道を主な居住地とする先住民)
 

今回の民泊セミナー事業は、 厚生労働省の実践型地域雇用創造事業で、平取町地域活性化協議会が主体となり、 協議会内の人材育成メニュー「人が集い、町がにぎわい、仕事を創り、町を育む」びらとり町民チャレンジプロジェクトの民泊・農泊促進講座(全4回 定員10名) として実施いたしました。(会場:平取アイヌ文化情報センター)

住宅宿泊事業法(民泊)を活用し、平取町内の空き店舗・空き家・空き室の利用を促し雇用創出を目指しています。 セミナー4日間(8時間)の内容は、 

1民泊についての基礎知識
2民泊についての注意事項と事例紹介 
3民泊を始めるための手続きと準備 
4民泊を初めてからの心構えとサポート 

としました。地域の農業関係者・塾経営者・移住された方などが参加されていました。 少人数制のためディスカッション形式で宿泊のみならず、体験も含めて進行させていただきました。

セミナーを終え、札幌までの高速バスを待つ間に「チセ」の中に入らせていただきました。「チセ」は、北海道や千島列島、樺太の先住民族であるアイヌの伝統的な住居建築です。平取のチセの屋根、壁はあし・よしを使用しています。(他の地域では熊笹・白樺樹皮など) 冬季間の北海道は最低気温がマイナス20~30度となります。アイヌの方々は「チセ」でどのように暖をとり、暮らしていたのか、とても興味深く拝見をさせていただきました。

アイヌの伝統的な住居建築「チセ」

最近は漫画ゴールデンカムイの影響もあり、アイヌ文化へ興味を持つ人もさらに増えています。 平成20年、国会でアイヌ民族を先住民族とすることを求める決議が全会一致をもって採択、平成21年には 先住民族の権利に関する国際連合宣言が採択、日本は賛成票を投じています。(宣言は、先住民族に対する差別を禁止し、それは彼らを心配させる全ての問題への彼らの完全で有効な参加を促進し、そしてまた、彼らの権利を明確に保持し、彼ら自身が目指す経済・社会的開発の継続を促進)

北海道、そして今、日ロで話し合われている北方領土などでも、先住民であるアイヌの方々が「チセ」で生活していたのです。 セミナー参加者と、住宅宿泊・農宿・OTA体験(タビナカ体験)の仕組みを活用、利用することで、 平取(アイヌ文化・農村)を知ってもらう、楽しんでもらう、それらを地域の仕事へつなげることができないか?検討しました、いくつかのアイディアがOTA(宿泊・体験)登録の手前まで進みました、公開となりましたら本コラムで紹介をします。