【第162回】飲食ビル空き店舗を宿泊事業へ活用②『北海道民泊、訪れてよし住んでよし』北海道民泊観光協会 代表理事 南邦彦さん

昨年2018年9月5日「賃貸住宅フェア2018in 札幌」に登壇させていただき、その日のうちに旭川の飲食店ビルを民泊運用の提案をいただきました。そして、翌日の6日早朝に北海道胆振東部地震が発生しブラックアウトを経験することとなります。

災害時における民泊物件被害やその対応について1週間ほど情報収集を行い、9月14日には観光庁(東京)へ出向き報告そして東京から北海道へ戻り9月15日旭川入りすることができました。旭川では「北の恵みマルシェ 秋の旭川ごちそう市場 北の真ん中、巨大市場で食べ歩き」が開催され最終日でした。 今回、紹介をいただきました飲食店ビルは旭川サンロクにあり、マルシェイベントによって多くの人でにぎわっています。旭川サンロク市街地には買物公園があります。買物公園は1972年に開設された全国初の恒久的な歩行者専用道路です。 私は北大公共政策大学院在学中にリーダーシップ論を受講した中で政治家のリーダーシップというテーマがあり五十嵐広三 旭川市長(後の衆議院議員建設大臣・内閣官房長官)についての中で買物公園については情報として知ってはいたものの、当時は単位を取得することと学費の捻出と生活費のことで精一杯でした。

旭川サンロク・買物公園で民泊事業をスタートさせるにあたり、あらためて地域のことについて調べてみることにしました。その中で興味深かったこととして買物公園は商業活性化ではなく、趣旨は「人間性の回復」・「車社会からの解放」・「自然との対話」であり、散策やデート、ショッピングを思い思いに楽しめる「人のための道」、そして当時の五十嵐幸三市長は「買物公園は完成したのではなく出発したのだ。次世代の市民によって新しい夢を描いてゆけばよい」と完成時に市民へ語ったそうです。

車社会が拡大しようとする時代、車が通る道路を歩行者天国とし人に「道」を取り戻そうとする構想は住民や商店街の合意や北海道警察・開発局など関係省庁を動かし、その経費についても官民負担の調整と大変な苦労の連続だったと思います。 今回の民泊事業を開設する建物は、その買物公園エリアにあります。 1972年買物公園が開設された5年後に建てられた6階建てワンフロア1200平米、ビル内にエレベーターが5基ある巨大なビルでした。