【復刻・民泊革命(第9回)】民泊をめぐる様々なビジネス

 1年4ヶ月間、2016年1月11日号から2017年4月24日・5月1日号まで計64回にわたって不動産業界紙「週刊住宅」に連載された「民泊革命」。掲載用に編集前の元原稿を民泊大学ウェブサイトで復刻し、過去に取り上げた事実が現在どうなっているか、著者のコメントを合わせて掲載します。

民泊解禁に湧く不動産業界

 民泊に関しては、代行会社の隆盛がよく取り上げられているが、それ以外にも様々な関連ビジネスが始まっている。
まずは、不動産業界。何と言っても、民泊を行うには不動産が必要だ。となれば、不動産を押えている不動産業界と関わらずにはいられない。
 アパマンショップは、昨年11月17日民泊市場への参入を発表、さらに12月9日従来からある契約期間2年の賃貸に加え、契約期間1年以上、1ヶ月以上、7日以上(B&B)の区分を検索できるサイトをオープン。その結果、11月16日終値510円から、1月7日の最高値1642円まで、3倍以上に株価を上げた。
 その他、大京や「HOME’S」を運営するネクスト、シノケングループ他、枚挙にいとまがない。先週もハウスドゥが旅行会社との提携を検討中と発表しただけで4日間連続で株価を上げた。

「大家許可物件」バブル

 そんな中、小さな不動産賃貸仲介会社にもミニバブルが訪れている。
昨年前半まで、賃貸した物件を大家の知らないうちに民泊施設として運営するという「大家未承認・転貸型」とも言うべきパターンが9割以上を占めると言われていた。しかし、昨年半ばから民泊について報道されるようになり、クレームがあった時に大家や管理会社の側も「これは民泊では」とわかるようになった。そこで、大家未承認物件については、解約⇒強制退去の数が増え、現役ホストとの会話でも強制退去の噂をよく聞くようになった。
 一方出てきたのが「大家承認物件」「大家許可物件」と言われる民泊承認物件だ。現時点で民泊そのもので許可を取るのが難しく、適法性に疑いがあるせいか、文書上は「転貸承認」とされた物が多い。借りる人の数が減り、通常だと敷金・礼金が0ヶ月、賃貸紹介料も0.5ヶ月という物件も多い中、敷金・礼金が1~2ヶ月・賃貸紹介料1ヶ月が普通で、家賃も相場に1万円位足されていることがある。
 そういう物件をSNSなどで紹介するビジネスも生まれた。1件紹介して契約が成立すると、情報料・紹介料などを1ヶ月分もらうのだ。情報を探してくるのに時間がかかるが、契約する人さえ出てくれば、情報を流しただけで5万円以上の報酬になる。こうした物件を求める人が多くなり、情報が流れて1時間ほどで決まってしまうこともよくある。
 ただ、中にはよくわからずに民泊をすれば儲かる、「許可物件」と銘打ってあれば、法的に問題ないと誤解している人もいる様子である。そこは、少々心配なところだ。

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