【復刻・民泊革命(第13回)】民泊業界の状況はどうなっているのか

 1年4ヶ月間、2016年1月11日号から2017年4月24日・5月1日号まで計64回にわたって不動産業界紙「週刊住宅」に連載された「民泊革命」。掲載用に編集前の元原稿を民泊大学ウェブサイトで復刻し、過去に取り上げた事実が現在どうなっているか、著者のコメントを合わせて掲載します。 

「民泊、どうなってるんですか?」とよく訊かれる。毎日報道が錯綜し、何がどうなっているのか、情報通でもわからなくなる。今回は情報の整理をしてみよう。

民泊規制緩和ロードマップ

 まず、民泊規制緩和の動きとしては、特区民泊が挙げられる。1月末に大田区、今月大阪府、秋には大阪市もスタート予定だ。ただ、この特区民泊は6泊以上という制限がネックになり、4月8日現在で大田区も7件しか認定を受けていない。

 4月初め定員9人以下の簡易宿所について、政令改正によりの面積要件が緩和され、通知の見直しにより玄関帳場の要件も緩和された。ある都内の保健所は、玄関帳場見直しの通知は受けたが、運用と条例改正、どちらで対応するかにつき、検討が終わっていない。今月27日厚生労働省より各自治体への説明会があり、それを聞いてから動くことになると言う。今回の簡易宿所の要件緩和では、トイレの数や消防法規制の関係で想定外の費用がかかる場合もある上、共同住宅では管理規約の問題が残り、通常の住宅での許可取得は進みそうにない。

 次に6月までに出るという「民泊サービスのあり方に関する検討会」での検討結果が期待されるが、こちらも例えばホームステイ型民泊を90日以内なら認めるというような、かなり限定されたものになりそうだ。

 そして、3月経済紙で報道された、国土交通省で検討される管理会社を使った民泊の管理制度案が急浮上した。外部不経済の問題を解決しつつ、820万戸以上はあるという空き家対策、そして2020年4000万人の訪日観光客を合法的に迎えるという課題を解決できるのか、注目されるところだ。こちらは、2017年度中実施を目指すという。

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