【復刻・民泊革命(第16回)】検討会に出された「一定の条件」論

 1年4ヶ月間、2016年1月11日号から2017年4月24日・5月1日号まで計64回にわたって不動産業界紙「週刊住宅」に連載された「民泊革命」。掲載用に編集前の元原稿を民泊大学ウェブサイトで復刻し、過去に取り上げた事実が現在どうなっているか、著者のコメントを合わせて掲載します。 

 民泊に関する法規制については、厚労省と観光庁が主宰する「民泊サービスのあり方に関する検討会」で議論が進められているが、前回4月22日新法を適用=旅館業法適用を除外する民泊について「一定の条件」を設ける案が厚労省・観光庁から提案された。
この新しい制度設計について、今回は考えたい。

政府の提案する制度設計の内容

 まず、政府側の案を押えてみよう。政府案では、新法の対象となる民泊は、ホストが住んでいるホームステイ型も含まれるし、登録された管理会社が管理していれば、ホスト不在型も認められる。

ただし、民泊を旅館業ではなく、住宅として扱う関係上、線引のために一定の条件が必要だとする。住宅として扱うというのは、用途地域や容積率を指しているが、分譲マンションの標準管理規約についても含まれるかもしれない。

 「一定の条件」については、次の3つの方向から検討するという。

1.営業日数 例 年間30日以内

2.宿泊人数 例 1日あたり4人以内

3.その他  例 面積、物件数

 検討会を傍聴する限り、「宿泊人数」制限は評判が悪く、「営業日数」の制限については異論がなかった。「その他」の要件については、例えばマンション一棟全体なら、ホテルとして許可申請すべきという主張があり、おおむね肯定的に受け止められている。

民泊新法について、来年5月頃国会で成立させ、秋施行を目指すと関係者が発言したという話もあるので、上記のような方向でまとまる可能性もあろう。

しかし、新法での登録が政府の目論見通り進むかどうかについては、疑問を持っている。この方向で議論がまとまれば、特区民泊や簡易宿所の要件緩和と同様、ほとんど状況が変わらないのではないだろうか。

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