【復刻・民泊革命(第16回)】検討会に出された「一定の条件」論

日数制限がかかると空き家活用にはならない

 前回も書いたが、日本は欧米各国と違い、空き家の数や率が高く、観光立国を目指すにあたり、無闇にホテルを建てるよりも既存の住宅などを有効利用する方が投資リスクが低い。

 この空き家を民泊に流用するケースを考えると、日数制限がかかった場合に空き家のオーナーが民泊として活用する気にはならない。例えば、賃貸住宅として運用しているが、3年くらい借り手がいない物件があるとする。空いているよりは良いと、年間90泊のために家財をそろえ、管理会社を決める。だが、3~4ヶ月で90泊を消化してしまったら、また通常の賃貸に戻さないといけない。家財道具付きの賃貸は、日本では一般的ではない。家財道具をどこかに保管する必要がある。そして、1年経った時点で、また民泊に戻す、たまたま賃貸で借りた人が長く借りたかったら、戻せない。保管した家財は使われないことによって、劣化してしまうだろう。

 そう考えると、少なくともホスト不在型については、日数制限を設けるべきでない。用途地域については旅館業法と同じ扱いにしておいても良いだろうし、容積率についてはホテルも今秋より緩和されるという報道もある。管理規約についても、別途検討の余地があるのではないか。

<以上「週刊住宅」2016年5月9日号掲載分>


<筆者プロフィール> 児山秀幸(こやま・ひでゆき) 合法民泊やホステル・ゲストハウスなど簡易宿所の立ち上げや運営支援を手掛ける株式会社TAROコーポレーション代表取締役。旅館業法における「簡易宿所」の営業許可を取得した「タローズハウス鎌倉小町」を運営。Facebookグループ「簡易宿所・民泊ビジネス研究会」の管理人。Airbnbや民泊新法、旅館業法、特区民泊、東南アジア民泊、医療インバウンドなどに関するセミナー・コンサルティングも。

<前回号である第15回記事>

【復刻・民泊革命(第15回)】宿泊需要にどう対応するか