【復刻・民泊革命(第17回)】対テロ、感染症問題のキーは?

規制に関する2つの考え方

 民泊のように状況が先に進んでしまった場合、その問題を解決する方法として2つのアプローチが考えられる。1つは、理想的なレベルを許可の条件とし、そのレベルに達しないものをドンドン取り締まる方法。もう1つは、ミニマムなレベルを条件にし、広く登録させた上で、漸次改善をして理想に近づけていく方法。

 仮に前者を「厳格型」、後者を「漸進型」とすると、現在の「民泊あり方検討会」は厳格型のアプローチを中心に検討している。しかし、この厳格型のアプローチで、テロや感染症対策の目的を達成するのは難しい。
 厳格型のアプローチで行くと、下記のような循環になる。

許可のハードルを上げる⇒許可を取得する施設が少なく、どこに施設があるかわからない⇒コントロールが利かず、誰がどこに泊まっているかわからない+近隣も不安⇒数が多く、全てを取り締まるコストが大きい⇒予算をつけられない⇒対応が遅れる

これに対して、漸進型のアプローチではどうなるか?

 ハードルの低い届出制にする⇒ほとんどの施設が登録をする⇒どこで誰が運営しているか把握でき、コントロールができる=本人確認資料の保存を義務付け可能=どこに誰が泊まっているか把握可能+近隣もクレーム先がわかるようになる⇒無届施設の数が少なく取り締まるコストが小さい⇒素早い対応が可能

 このように2つのアプローチを比較してみると、漸進型のアプローチの方が合理的と言えるのではないだろうか。

ポイントは本人確認

 テロと感染症への対策のポイントは、本人の確認である。事後的ではあるが、どこの誰がどう動いているかが分かれば、対応も取り易い。また、テロの場合はそれが抑止力にもなる。

 3月末定員9人以下の簡易宿所について、フロント(玄関帳場)が不要でよいと厚生労働省から各自治体に通知が出された。ただし、フロントがなくとも、本人の確認と緊急時の連絡先の明示は必要である。

6月にサミットを控え、全国に広がる民泊施設で宿泊者の本人確認ができる体制を作ることが急務と言える。それには、どういうアプローチが合理的か、もう一度検討してみてはどうだろうか。

<以上「週刊住宅」2016年5月16日号掲載分>


<筆者プロフィール> 児山秀幸(こやま・ひでゆき) 合法民泊やホステル・ゲストハウスなど簡易宿所の立ち上げや運営支援を手掛ける株式会社TAROコーポレーション代表取締役。旅館業法における「簡易宿所」の営業許可を取得した「タローズハウス鎌倉小町」を運営。Facebookグループ「簡易宿所・民泊ビジネス研究会」の管理人。Airbnbや民泊新法、旅館業法、特区民泊、東南アジア民泊、医療インバウンドなどに関するセミナー・コンサルティングも。

<前回号である第16回記事>

【復刻・民泊革命(第16回)】検討会に出された「一定の条件」論