【復刻・民泊革命(第19回)】 マンションでの合法民泊は可能か?

 1年4ヶ月間、2016年1月11日号から2017年4月24日・5月1日号まで計64回にわたって不動産業界紙「週刊住宅」に連載された「民泊革命」。掲載用に編集前の元原稿を民泊大学ウェブサイトで復刻し、過去に取り上げた事実が現在どうなっているか、著者のコメントを合わせて掲載します。 

民泊を合法に行うにはどうすればよいか。

 農漁村民泊、イベント民泊などに加え、今年は「特区民泊」「簡宿民泊」が登場し、現在今年度新法制定による「新法民泊」が検討中である。

大田区や大阪府の特区民泊では、マンションの数室が特定認定されている。新法民泊は政府や有識者会議での検討を待つとして、簡易宿所での民泊はマンションで可能だろうか。

フロントの要否は、自治体によって違う

 例えば、ワンルームマンションでの民泊を想定すると、部屋の中にフロント(玄関帳場)を作って、その中に管理人がいるという体制は、考えられない。人件費だけで赤字になってしまう。

 先日全国紙で、現時点で35の道県・政令市で簡易宿所にフロントが必要とされているということが報道された。内訳を見ると、民泊施設の多い新宿区、渋谷区、大阪市、京都市などが軒並みフロントを要求している。しかも、3月末にフロント必須を条例化した台東区を初め、新宿区、渋谷区、千代田区、中央区、豊島区は、改正を検討する予定がないとする。となると、この範囲でマンションの一室で簡易宿所許可を取るのは難しい。

 ただ、山手線の駅周辺を見ると、港区、品川区、目黒区、荒川区、北区といったところは、条例でフロントを要求していない。ある区の保健所で確認したところ、民泊施設から10分前後のところに管理人がいて、鍵を持って民泊施設を案内し、緊急の時はすぐ駆けつけるような体制があれば良いとのことだった。こういう形が許されるなら、複数の施設を管理するステーションを設ければ、マンションの一室での簡易宿所許可取得も十分視野に入る。

<次のページ> 簡易宿所にする時のその他の問題