【復刻・民泊革命(第21回)】 Airbnbの経験を旅館立上げに活かす

 1年4ヶ月間、2016年1月11日号から2017年4月24日・5月1日号まで計64回にわたって不動産業界紙「週刊住宅」に連載された「民泊革命」。掲載用に編集前の元原稿を民泊大学ウェブサイトで復刻し、過去に取り上げた事実が現在どうなっているか、著者のコメントを合わせて掲載します。 

湯河原で3月1日オープンしたTHE RYOKAN TOKYO YUGAWARA。京都の伏見神社の鳥居を模した入口が印象的だ。各紙、各局で取り上げられたので、報道をご覧になった方もいるだろう。

 この旅館の立ち上げに関わった山本博氏。Airbnbを使った民泊を経験し、その経験をこの旅館立上げに活かしていた。

ホームパーティが最高の近隣対策

山本氏は、自宅の余ったスペースが何かに活用できないかと考えていた2012年、Airbnbというサイトを使って観光客に部屋を提供できることを知り、やってみることにした。まだAirbnbが日本語対応する前で、民泊という言葉も使われず、旅館業法上の問題があることなど、ほとんどの人の意識に上ることもない頃だった。

その朝サイトに掲載すると、昼には問い合わせが来て、夕方申込み。その2日後から3週間部屋を借りることが決まった。交通工学を専門とする、ロンドンの大学の女性教授からの予約。1歳の子供を連れてきての宿泊だった。

話をしてみると面白い。自分も以前設計事務所を経営し、人の通行量を論理的に考えた経験があったが、イギリスでは新しい施設を建てる時にどの程度の通行があるかを調査し、条件をクリアしないと建設の許可が出ないという。と言うより、イギリスではそれが常識なので、その辺りをほとんど考慮しない日本というのは格好の研究材料になるらしい。自分の常識がひっくり返った。

この宿泊客が日本に滞在する間、毎週末夫が部屋に遊びに来る。どうせならということで、夫が来る時は毎週パーティーを行い、その後、自宅で月に一度ホームパーティを近所の人たちも誘って行なった。そうしたところ、最初はおっかなびっくりの参加だったのが、外国人と片言の日本語と英語でコミュニケーションを取るうち、皆パーティを楽しみにするようになったと言う。

母親などは、子どもを守る本能があるせいか、最初は微妙な対応だったが、子どもが1時間、2時間して外国人とコミュニケーションを取り始めると、生の外国人体験を子どもができることに驚いていた。

そういうことも有って、近所の人たちに民泊の運営を受け入れてもらえ、全くクレームもなかった。山本氏が考える、最高の近隣対策は、近隣住民参加のパーティー開催だと言う。

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