1年4ヶ月間、2016年1月11日号から2017年4月24日・5月1日号まで計64回にわたって不動産業界紙「週刊住宅」に連載された「民泊革命」。掲載用に編集前の元原稿を民泊大学ウェブサイトで復刻し、過去に取り上げた事実が現在どうなっているか、著者のコメントを合わせて掲載します。
一昨年から民泊を始め、14物件を運営するAさん。今はこれ以上物件を増やす気はなく、民泊の関連事業を何か起こせないかと考えている。民泊関連のミートアップでは、10物件以上を運営するホストに時々出会う。そういうホストの一人であるAさんにインタビューした。
Airbnbとの出会いはアジアへの旅行
2013年、大学生だったAさんは、アジアのある国に1ヶ月ほど旅行をした。ほとんどは、ホテルやゲストハウスに泊まったのだが、Airbnbを使って2泊してみた。それが、民泊との出会いだった。
IT系の仕事を希望していたAさんは、情報収集するうち、Airbnbを使った宿泊が海外で流行りだしていることを知った。ホテルでも宿泊場所は確保できるが、現地の人とは交流できない。興味を持ったAさんは、民泊しようと考えた。
ホームステイ型の民泊に泊まると、ホストの人と様々な交流や情報交換ができた。お互いの文化やバックグラウンドの違いについて理解したり、現地の食事を作ってもらい、一緒に食事を楽しむこともできた。
民泊の運営を始める
その時は民泊の良さを認識しただけだったが、翌年就職したAさんは、ニューヨークでAirbnbを使ってマンションを貸し、利益を上げている人がいるという記事を目にした。また、家賃が月30万円のタワーマンションに住み、1泊1万円で個室を貸したらほとんど毎日埋まり、家賃が浮いたという同僚がいた。
海外旅行以来、英語を使う機会も、外国人と交流する機会もなくなっていたこともあり、Aさんは、外国人と交流し、利益を上げるという2つを目的に民泊をスタートした。
最初は、渋谷駅から5分のマンション。大家の承諾は取っていなかった。鉄筋コンクリート造で、壁が厚く、玄関が隣と離れた部屋を探した。運営を始めてみると、稼働率は高かった。その後、次々に物件を増やし、14物件を運営するようになり、就職先も昨年やめた。
この1年の数字を月ごとにならすと、売上が350万円、家賃は200万円、水道光熱費・掃除の外注費が合計50万円程度とのことなので、毎月100万円程度の利益が出ていると言う。