1年4ヶ月間、2016年1月11日号から2017年4月24日・5月1日号まで計64回にわたって不動産業界紙「週刊住宅」に連載された「民泊革命」。掲載用に編集前の元原稿を民泊大学ウェブサイトで復刻し、過去に取り上げた事実が現在どうなっているか、著者のコメントを合わせて掲載します。
今回は、ホームステイについて取り上げてみたい。ホームステイ型民泊ではなく、留学生を家庭に受け入れる、ホームステイそのものである。周辺のことがらを考えることで、民泊の性質もより明らかにできる。
無償で受け入れることが多いホームステイ
今回お話を伺ったのは、留学生とホストをつなぐ、ティーダビジョンの藤嶋倫さん。昨年4月引っ越したが、部屋が余ってしまい、何かできないかと考えた。自分の考えをはっきり主張する性格の自分には、日本人より外国人とつき合う方が合っていると思い、外国人留学生を受け入れるホームステイをすることにした。
ただ、留学生を紹介する会社のほとんどは、無償での受入が条件。食べ盛りの世代を受け入れ、食事も出すのに無償はつらい。その中で1社実費程度の費用を要求できる会社があったので、そこで登録し、ホームステイの受入れを始めた。
ホームステイを始めて、数ヶ月経った頃、夫が会社から新規事業のアイデアがないか、相談を受けた。ホームステイの面白さやニーズを知った藤嶋さんは、留学生の紹介事業を提案。それが採用されて事業がスタートしたそうだ。
ホームステイと民泊の違い
ホームステイとAirbnbなどの民泊、どこが違うのか。ホームステイは留学が目的だが、民泊は観光を中心にビジネス、留学など、様々な理由で使われる。
藤嶋さんは、民泊とホームステイには、質的な違いがあると言う。ホームステイを受け入れるホストファミリーは日本での親代わりだ。また、日本の社会や文化、家庭を勉強する機会にもなっているので、日本のルールを教える役割がある。ホームステイに子どもを出す海外の親がそれを求め、来日する子どもも理解しているので、交流しやすいそうだ。
この1年何組かを受け入れる中で、肝っ玉母さんになって、子供を叱るケースもあった。台湾からの高校生が留学のため、ホームステイに来たが、わがまま放題が目立った。きれい好きなのに掃除は自分でせず、クレームめいたことを言う。アジア全体の傾向だが、雑巾を使わず、ペーパータオルのような物で何でも拭く。その感覚でティッシュ1箱が3日でなくなる。藤嶋さんが雷を落とし、ほとんど怒られたことがなかった少年は泣いていたが、親は感謝していたそうだ。