【第2回】民泊とハウスマニュアルの鉄則2 広島在住 民泊コンサルタント 播磨 恵さん

ハウスマニュアルの項目の順番についてどの順番で書くかということを前回の記事では書きました。最も大事なことは、

民泊ゲストの「最大の関心事」から「時系列」で書いていく

ということですね。すなわち、

住所→道順→鍵の入手方法→ハウスルール&緊急連絡先→その他

というゲストの思考にあった形で書けば、ゲストの頭に入りやすくなり、ひいてはゲストがハウスマニュアルを読まないまま物件や最寄り駅から「部屋ににどう行けばいいのか?」「カギはどこで受け取るんですか?」というゲストの電話がくるという事態が減ります。コレだけでも大成功ですよね。

それでも読まないゲストはいますが(笑)

さて、ここまで読んでいらっしゃるホストの方には、

「あれ、家電製品の使い方についてはどうするの?鍵の入手方法とハウスルール&緊急連絡先の間に入れるの?」

と疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。確かにゲストの関心事の優先順位ということから考えると、ここに挿入するのが一番妥当です。事実、私もこの後に家電製品の使い方を一時期書いておりました。

しかし、今はこの方式をやめて

「家電製品は別冊で印刷して綴じて部屋に置く」

という方式を採用しています。

というのは、やはり

「人間は必要性に駆られないと読まない」

からです。つまり、マニュアルを1つにして鍵の入手方法とハウスルール&緊急連絡先の間に家電製品の使い方を挿入すると、ゲストは住所→道順→鍵の入手方法までは読んでも、その際には家電製品を使わなければならないという切迫した状況にははないですから、「ああ、これは今必要ないからいいや」ということになって読まない可能性が高い。

そしてゲストが部屋について、実際

「暑い…エアコンつけよう」
「WiFiでネット繋げて2日後の出発の日の新幹線のダイヤをチェックするかぁ…」
「洗濯物溜まったから洗濯しよう!」

という状況になって家電製品の使い方の情報をゲストは探し始めますが、前述の通りハウスマニュアルを受け取った際にその部分はきちんと読んでないので頭になく、ホストに勢い質問のメールが来たり電話がかかってくるということになってしまいます。

ところが、ゲストが部屋に到着して上述のような状況になった際はどうでしょう。

ゲストは家電の使い方が喫緊の課題ですから、印刷した「家電製品の使い方」が部屋の机の上にあれば問題解決のために真剣に読みます。
そして頭にも入りやすいですよね。目の前には問題の家電製品がありますから、見ながら試せます。

「あーなるほど、こうすりゃいいのか」
「あ、コレはここを押すのね」

と手に取る事ができます。

必要性がその段階ではなく、家電製品の実物が手元にない段階で家電製品についてハウスマニュアルがある。
必要性が切迫して、家電製品の実物が手元にある段階で家電製品についてハウスマニュアルがある。

どちらがゲストの立場に立っているか?
どちらがゲストに対して親切か?

答えはおのずと出てきますね。

播磨 恵(はりま めぐむ)/翻訳・通訳、英語講師、民泊コンサルタント

 広島県呉市生まれ。現在は広島市在住。原爆ドームや宮島を訪れる観光客が非常に多い広島にて、2014年12月、知り合いから依頼を受けてAirbnbの英文メッセージの予約管理やハウスマニュアルの作成。また無類の旅行好きで、サッカー観戦のため、国内や海外でもAirbnbを使って宿泊し、ゲストの立場にたった民泊ビジネスを心がけております。
現在2018年FIFAロシアワールドカップの観戦旅行を計画中。