【第4回】民泊をめぐる課題『北海道民泊、訪れてよし住んでよし』 北海道民泊観光協会 代表理事 南邦彦さん

2016年日本におけるAirbnbコミュニティ経済効果はなんと9200億円、2015年に比べ1.8倍へと経済効果は伸びていますが課題もあります。

住民からの苦情に関して、新宿区民泊問題対応検討会議、警察の出席者が「見知らぬ外国人がうろうろして気味が悪いという苦情が最も多い」という記事、新宿区の内容ですが北海道でも同様であると感じています。

民泊への不安を感じている住民や地域もあります。騒音やゴミ出しマナーに関する近隣住民とのトラブルが挙げられますが、見知らぬ外国人がうろうろして気味が悪いというのが住民感情です。

北海道保健所における指導件数も平成26年度5件から平成27年度には46件と急増しています。

北海道内においても民泊をビジネス化する動きもあり様々なサービスが展開をされています、民泊はグレーと言われながらも、実態は旅館業法の許可を得ない、得ることができない違法な状況のまま一般利用が広がっているのです。(北海道内約1000物件あります。)

民泊サービスの適正な実施を図るためのルール整備が追い付いていない状況に住民は不安を感じているようです。
過去、グレー民泊、違法な民泊をスタートさせるということで運営者は近隣や管理会社へ民泊事業と伝えないケースが多く見受けられました。結果、住民はなんだか最近見知らぬ外国人がうろうろして気味が悪いという風潮が蔓延したのではと感じています。月に500~1000のチェックアウト時の部屋を確認していますが実際にはマナーの良いゲストが多いです。

最近は、民泊事業者も新法を見据えながら準備をされているケースが多いようです。

私もアパートオーナーさんや不動産管理会社の方と一緒に、「隣の部屋で民泊がスタートします」と正直に伝え歩いています。その反応は意外と好意的で、外国人が困っていたらヘルプしますねと言っていただいた方もいます。

また交番へ挨拶に行くこともあります。ゲストが道に迷って交番で道を尋ねることがありますので事前に交番へ行き「外国人が道を尋ねるケースがあるので、その際にはよろしくお願いします」と伝えたところ実際に警察官の方が民泊のある部屋まで案内していただいたケースもあります。

しかし、民泊に反感がある住民や地域もあります。ゲストがインする様子や民泊清掃員を近隣の住民がスマートフォンで画像に残し行政へ提出するようなこともありました。

何度か地域の総会等に参加をしたり、代表者のお家へ出向いて、なぜ外国人がいると不安を感じるのか?お話を聞くなどしましたが一度悪いイメージがつくとそれらを払拭することは難しいです。
そうならないようにするには、民泊をスタートさせる前に近隣住民の方、不動産管理会社やオーナー、地域の交番も含めて事前説明・理解を求めることでトラブルは予防できそうです。

民泊新法(住宅宿泊事業法)事前届出登録が2018年3月15日、民泊新法施行が6月15日施行とされていますが、民泊ゲストと生活する人々の暮らしとの調和、お互いが気持ちよく過ごすことができるローカルなルール作りに取り組んでいます。

民泊現場は日々動いているのです。

南邦彦(みなみ・くにひこ) /一般社団法人北海道民泊観光協会 代表理事
元保育士養成施設教科専任教員。2014年より障がい者雇用でAirbnb民泊管理・民泊清掃事業をスタート。北大公共政策大学院卒。公共政策学士。