【第5回】北海道も団体旅行から個人旅行の時代へ『北海道民泊、訪れてよし住んでよし』 北海道民泊観光協会 代表理事 南邦彦さん

先日、北海道内で団体旅行客を乗せた観光バスが横転し、6人の方がケガをされるという事故がおきました。
あまり紹介したくない数字なのですが北海道外国人観光客の団体パッケージ利用割合は53.1%(全国平均は15.6%)です。

団体パッケージ割合は、我々民泊ホストにとっては残念ながら全国1位なのです。

団体パッケージ旅行にも素晴らしいところもあると思いますが、個人型旅行よりも団体型旅行の方が行動の自由が制限され、そして観光消費額は少なくなると言われています。

地域の方と交流をするようなプログラムは皆無なのではないかと思います。

北海道民としては北海道の良さをもっと体験して欲しいのですが、更に訪日来道者延べ宿泊数では主要8空港のうち7位と他空港に比べて短く、空港別比較「新千歳5.1泊」「仙台9.2泊」「羽田9.1泊」「成田14.2泊」「中部11.5泊」「関西11.1泊」「福岡12.2泊」「那覇4.2泊」となっています。

北海道外国人観光客(平成26年度)平均泊数は「シンガポール6.1泊」「オーストラリア5.8泊」「香港4.7泊」「マレーシア2.4泊」「タイ2.4泊」と5泊以上のとなる国はシンガポール・オーストラリアのみです。

ご存知の通り、北海道は広く、札幌・函館・旭川・富良野・帯広・釧路・網走・北見・稚内と周遊するには5泊でも短いです。

今春には東アジアからの新千歳空港への離発着便が増便し北海道を訪れる外国人観光客は増えていますが、まだまだ団体型旅行が多く、民泊個人型旅行が増えていく必要があると感じています。

新千歳空港の増便申請(2017年3月下旬)「杭州0→週7往復」「大連0→週7往復」「南京0→週2往復」「西安0→週4往復」「釜山7→週16往復」「ソウル35往復→70往復」「大邸 週3往復→4往復」 幸いにして訪日外国人旅行者の北海道認知度と訪問意欲度は高く、『訪れてみたい観光地』北海道は東京都に次ぐ全国2位です。

ただデーターを見て悲観しているのではなく、政府はアクションを起こそうとしています。

北海道13空港での運営の民間委託です。現在、新千歳空港へ集中している離発着の分散を目的に、国が管理する新千歳、函館、釧路、稚内の4空港、道が運営する女満別空港、帯広市・旭川市の各空港の7空港からまずは戦略的な空港間連携を行い、LCC便などの就航促進に取り組んでいます。

これらが仕組み化されることによって、現状の「新千歳IN→新千歳OUT」から「函館IN→新千歳OUT」「釧路IN→稚内OUT」など INとOUTで異なる空港活用を可能とし多様な観光ルートが広がり、道内を個人型旅行で楽しんでもらうことがますます可能になります。

現在も道内民泊ホストが連携を強めていますが、上記のような仕組みと連動しながら自分の地域のみならず、道内他地域の民泊ホストを紹介しゲストを向かい入れることで、ゲストは地域ならではの貴重な体験を道内複数地で楽しんでもらうことができます。

民泊は既存の旅館業の脅威ではなく北海道全体の「パイ」を増やす存在なのです。

南邦彦(みなみ・くにひこ) /一般社団法人北海道民泊観光協会 代表理事
元保育士養成施設教科専任教員。2014年より障がい者雇用でAirbnb民泊管理・民泊清掃事業をスタート。北大公共政策大学院卒。公共政策学士。