【第6回】ホテル旅館と民泊は共存できるか『北海道民泊、訪れてよし住んでよし』 北海道民泊観光協会 代表理事 南邦彦さん

先日、札幌ホテル旅館協同組合が会員向けに配布された「民泊新法(住宅宿泊事業法)へのパブリックコメント投稿へのご協力お願い」という資料が話題になりました。中身(下の写真)を見てみると、 

民泊新法へのパブリックコメントへ投稿のご協力お願い
宿泊事業者としてでも可
一住民としてでもよいので懸念されることや反対意見をどんどんあげてください

例1 住居専用地域では地域住民が反対した場合制限することができるようにして欲しい
例2 違法な民泊がなくなるように法律施行時に仲介事業者にサイトから違法物件の削除を義務化して欲しい

と記載されています。

新千歳空港では国が防衛に配慮しながらも地域経済活性化や観光振興を重視しビザの緩和をしているのにも関わらず住居専用地域での民泊制限を掲げています。

ではホテル関係者は民泊事業者をどのように見ているのでしょうか。

私はホテルの朝食の配膳バイトをするなどしホテル関係者と接触を試みました。私がヒアリングをした範囲では地元ホテル関係者は表向きは地元民泊事業者に対して敵視しているように見せていますが、実際はそれほど大きな脅威と見ていないと感じました。

それよりも道外資本の大手ホテルグループへの脅威を強めているようです。 他にはホテルの客室は増えているがリネン(シーツ)を洗濯する工場は比例して増えてはおらず、シーツが足りなくなるのではないかという懸念を持っていました。

民泊現場からゲストの客層を見ていると中間層以下の観光客も多く、格安LCC+グループで安価に旅行というケースが多いように感じます。

経済的な観点から北海道観光を⾒ると、

外国⼈観光客の宿泊単価は全国平均の約7割
消費単価は主要 8空港のうちで第7位
平均泊数は主要8空港のうちで第’位
団体ツアーの割合は全国1位
買物は単価の低い菓⼦類が中⼼

北海道観光は、観光客数は多いが消費額が低いの現状です。 そして北海道における観光の経済波及効果は、その観光知名度や来道客数に⽐べると、残念ながら低⽔準に留まっています。 このままでは北道観光は安い旅⾏代⾦で⾏ける観光地と位置づけられてしまうかも知れません。

民泊は既存の旅館業の脅威ではなく、互いに切磋琢磨をしながら協力・連携が可能な存在であると思っております。

南邦彦(みなみ・くにひこ) /一般社団法人北海道民泊観光協会 代表理事
元保育士養成施設教科専任教員。2014年より障がい者雇用でAirbnb民泊管理・民泊清掃事業をスタート。北大公共政策大学院卒。公共政策学士。