1年4ヶ月間、2016年1月11日号から2017年4月24日・5月1日号まで計64回にわたって不動産業界紙「週刊住宅」に連載された「民泊革命」。掲載用に編集前の元原稿を民泊大学ウェブサイトで復刻し、過去に取り上げた事実が現在どうなっているか、著者のコメントを合わせて掲載します。
9月9日国家戦略特別区域諮問会議で、特区民泊の最低宿泊数を現行の6泊7日から2泊3日に引き下げることが決定された。8月上旬各紙で報道されていたが、これで正式決定された形。これを受け、大阪府と大阪市が泊数制限を条例で緩和する方針を示している。
また、10月下旬から大田区の民泊特区を主テーマとするテレビドラマが開始、神奈川県知事も特区民泊を導入する方向で動くと議会で答弁など、特区に関する報道が増えた1週間だった。
そこで、今回は合法的に民泊が認められる、簡易宿所民泊、特区民泊と民泊新法による新法民泊の3つを改めて比較してみよう。なお、新法民泊については、まだ詳細が決まっていないので、これまでの議論で有力な方向性と理解して頂ければ幸いである。
法的な位置づけは?
簡易宿所では旅館業法を適用し、宿泊契約を結ぶ形になるが、特区民泊では旅館業法の適用を除外し、不動産賃貸借契約を結ぶことになる。もっとも、大田区における特区民泊の運用を聞いてみると、契約書に署名捺印までは要求しておらず、メッセンジャーやメールで守ってほしい事項の確認ができれば良いようだ。新法では、民泊を宿泊サービスの提供ととらえているので、宿泊契約になると思われるが、まだはっきりしていない。
住居専用地域については、簡易宿所などの旅館業は許可を取れない。ただ、自治体で特別の取り決めをすることは可能である。特区・新法は、自治体で決められるが、現状住居専用地域で特区民泊できない自治体が多い。