【第9回】いまなお増え続ける民泊物件『北海道民泊、訪れてよし住んでよし』北海道民泊観光協会 代表理事 南邦彦さん

シェアリングエコノミーは、個人が保有する遊休資産の貸出を仲介するサービスの一つとされています。Airbnbをはじめとする民泊仲介サイトのスタート時はホストの空き部屋や別荘など使用していない部屋を利用したい人へ提供するというマッチングの意味合いが強かったと思います。

民泊は現在、アパートオーナーなどが空き室対策として運用というケースが増えてきています。

札幌市の人口は2015年194万人が2030年には187万人へ減少すると予測されています、札幌市の住宅施策【民間住宅】データを見ると住宅数の増加に伴って空き家数が年々増加しています。空き家率は、全国平均13.5%に対して札幌市は14.1%、分譲マンション数も1年間に1千戸~2千戸程度の供給があります。札幌では、人口減が予測され、さらに空き室率が高い中においても年々分譲マンションはゆるやかに増加をしておりアパートオーナーにとって空室対策をどうしていくのかが直近の課題となっています。

北海道住宅宿泊事業法(民泊新法)の実施の制限に関する条例(素案)に関して、ホスト不在型民泊の場合、小中学校の周辺100メートルのエリアでは祝日・土日・授業を行わない日以外の期間の民泊営業を禁止、ほかに住宅専用地域では土日・祝日および正月以外の期間(平日)の民泊を禁止という内容から、札幌市内では商業地にあるアパートを民泊にしようとする動きが加速しています。

もはや民泊という名称はミスマッチな感じがします。 民泊に関するバッドニュースが報道されればされる程、民泊の仕組みが周知・拡散をされ、民泊運用に興味を持つ人が増えています。 古いアパートの空室を民泊運用以外にも、空室新築アパートの入居が決まらず空室を民泊で運用したい。新築アパート1棟そのもの全室を民泊にしたい。貸事務所を民泊で運用したい。どのようにすれば民泊運用は可能なのかなど相談が多いです。
現実は、札幌市内のアパート空室が毎月数十室が民泊部屋として運用をスタートしているのです。 数年前は、室内の家具等はリサイクルショップで中古のパイプベッドや脚付きマットレス、布団をセットするケースも見受けられましたが、現在は、大手家具店の売り場で店員スタッフが民泊部屋にはこういう家具、寝具はこのリネンが良いなど提案まで行われ、高級ベッドにホテル仕様の白リネン、壁にはゲストに好感を持っていただける絵画が飾られ、パソコン画面から見て予約を得られやすいなどの部屋づくりが行われています。

さらにゲストが過ごしやすいことはもちろんですが、民泊清掃員が清掃がしやすいような導線も考えられ部屋づくりがされています。 他にも民泊用WiFi 民泊向け火災保険など様々なサービスが提供されています。 人口減少そして空室があるなかにおいても、新築マンション・アパートが増えている環境(住宅政策)が民泊物件を増やし、さらに周辺ビジネスに派生させている要因になっています。

南邦彦(みなみ・くにひこ) /一般社団法人北海道民泊観光協会 代表理事
元保育士養成施設教科専任教員。2014年より障がい者雇用で民泊管理・民泊清掃事業をスタート。北大公共政策大学院卒。公共政策学士。