民泊は新法ができてから事業がスタートと思っている方も多くいますが、現状すでに民泊ビジネスはグレー・違法と言われながらも広がっています、民泊新法(住宅宿泊事業法)はすでにある民泊や今後増える民泊を健全に育成するためのものだと認識をしています。
このあたりは指導機関である保健所とは認識の違いが大きいです、この部分についてはお互いテーブルについて現場で起きていることなどに関する話し合いの申し出を行ってきましたが、グレー・違法と言われている事業者と情報交換・今後の展開を話し合うというようなことはできないと拒否されてきました。
黒澤明監督映画「生きる」の中で市役所で市民課長を務める主人公渡辺勘治は、かつて持っていた仕事への熱情を忘れ去り、毎日書類の山を相手に黙々と判子を押すだけの無気力な日々を送っているのです。市役所内部は縄張り意識で縛られ、住民の陳情は市役所や市議会の中でたらい回しにされるなど、形式主義がはびこっていました。余命いくばくもないと悟り、市役所を無断欠勤し、これまで貯めた金をおろして夜の街をさまよい、お役所仕事ではない住民にとってベストだと思われる仕事をやり遂げ、亡くなっていくストーリーです。
映画では、お役所仕事に代表される官僚主義を批判していますが、民泊事業に関しては国が先導をしているが地方自治体・地方金融機関がついていけていない印象があります。 グレーであろうが相手の懐に飛び込まなければ現状把握は難しいのです。地方銀行は現場へ飛び込んできています。
地方自治体職員による地域からの政策提案・発信を求められています。 私自身、何度か民泊に関連する銀行融資のお手伝いをしています。融資担当者との関係性も大きく影響しているのかも知れませんが、正面から民泊物件を購入・運営するので融資をと地元金融機関へ持ちかけると難色を示されます。
しかし、少し角度を変え、民泊に関連する清掃事業という内容・提案であれば融資を受けられた実績があります。 銀行融資担当者以外にも、銀行内にある地域産業支援などの担当者が非公式に民泊現場の実情についてヒアリングの申し出あり、民泊物件現場を内覧していただいたこともあります。
今後、Airbnbなど民泊サイト・地方銀行・地元民泊事業者の3者間連携によるコンセプト型民泊事業なども増えていくでしょう。
南邦彦(みなみ・くにひこ) /一般社団法人北海道民泊観光協会 代表理事
元保育士養成施設教科専任教員。2014年より障がい者雇用で民泊管理・民泊清掃事業をスタート。北大公共政策大学院卒。公共政策学士。