1年4ヶ月間、2016年1月11日号から2017年4月24日・5月1日号まで計64回にわたって不動産業界紙「週刊住宅」に連載された「民泊革命」。掲載用に編集前の元原稿を民泊大学ウェブサイトで復刻し、過去に取り上げた事実が現在どうなっているか、著者のコメントを合わせて掲載します。
この1週間も新法民泊について、年間営業日数規制の具体的な日数は各自治体に委ねるとか、営業日数の調整がつかないので年内の法案提出は見送りになったなどと各紙報道が賑やかだった。
現在より近い将来にかけ、合法で民泊をする場合、この新法民泊に加え、簡易宿所民泊、特区民泊の3つが有力な選択肢になる。前号に引き続き、この3つの比較をしてみよう。なお、新法民泊については、詳細が決まっていないので、検討会での議論を前提とする有力な方向性に過ぎないことはご容赦いただきたい。
床面積は特区が一番厳しい逆転現象
元々簡易宿所の床面積は内法33㎡以上だった。そこで、特区民泊では壁芯25㎡以上として、面積を緩和した。しかし、この4月より定員10人未満の簡易宿所の面積要件が1人当たり3.3㎡以上となった。簡易宿所の定員は2人以上なので、6.6㎡以上ということになる。そこで、面積要件については、簡易宿所の方が特区民泊よりも緩和される逆転現象が生じている。なお、新法民泊も、定員1人当たり3.3㎡以上という面積の条件は踏襲される方向だ。
消防法上の位置づけは基本的に同じ
旅館業法上の許可を取るには、旅館業法を充たすだけではなく、建築基準法と消防法の条件を充たす必要がある、したがって、インバウンドを伸ばしていこうとするなら、旅館業法を緩和するだけでは足りず、建築基準法、消防法の見直しも必要だ。
旅館業法上のホテル、旅館、簡易宿所については、建築基準法上の基準についても容積率など、一部緩和されたが、消防法については今のところ変更はないようだ。マンションにしても、一戸建てにしても、自動火災報知機、消火器は必要だし、マンションでは、さらに誘導灯が要求される。
以上の基準は、特区の民泊にも適用されている。また、検討会における消防庁の発言を聞く限りでは、新法民泊についても、ホスト不在型であれば、簡易宿所と同様の基準が適用されるようだ。いつも生活している者とたまたま泊まっている者では、火気の使用、消火、通報、避難、どれをとってもレベルが違うということがその理由。ホスト居住型なら、ホストがいつも生活しているわけだから、住宅と同様に考えて良いのではないか、とのことだった。